[II-OR22-03] フォンタン術後患者の身体発達、骨ミネラル代謝、扁平足合併に関する横断調査
Keywords:フォンタン, 扁平足, 成長障害
【背景】フォンタン循環における筋骨格系機能の役割は重要とされる一方、術後患者の成長障害、骨ミネラル代謝異常が指摘されている。実臨床においてフォンタン患者が扁平足を合併することを多く経験するが、その臨床的意義や他の筋骨格系指標との関連に着目した研究は少ない。【目的】フォンタン術後患者の扁平足合併、身体発達、骨ミネラル代謝について調査し、その特性を明らかにする。【方法】当院通院中のフォンタン患者を対象とし、(1) 患者背景(年齢、性別、心形態)、(2) 体格(身長SDS、体重SDS、除脂肪量指数(fat free mas index; FFMI))、(3) 扁平足合併、(4) 骨ミネラル代謝(骨密度、血清Ca、IP、25(OH)D、iPTH)、(5) 血行動態指標(NYHA class、6分間歩行距離(6MWD)、BNP、平均肺動脈圧(mPAP))を調査した。【結果】症例は42例(男23)、年齢13.5(3~22)歳、フォンタン術後から9.9年(6か月~18年7か月)経過。心形態はHLHS 10、SV 13、PAIVS 5、TA 2、その他 12例。身長SDS -1.03±1.32、体重-SDS -0.79±1.18、FFMI 14.0±1.9kg/m^2、-1.13SD)であった。扁平足 22/38例(58%)、骨密度 0.84(0.54-1.20)g/cm^2、-1.02SD(-3.09-1.39)、血清Ca 9.6±0.5mg/dL、IP 4.3±0.6mg/dL、25(OH)D 15.4(4.0-30.2)ng/mL、iPTH 40(18-122)pg/mLであった。NYHA class II(I-III)、6MWD 415m(-1.47SD; 300-523m)、BNP 7.3(5.8-202)pg/mL、mPAP 10(6-15)mmHgであった。扁平足の有無における有意な年齢差はなく、合併群の身長SDSは有意に低値であった(-1.74 vs. -0.17, p=.026)。骨密度SDSはFFMI-SDSと正相関(p<.001)、mPAPと負相関(p<.05)、25(OH)DはFFMI-SDSと正相関(p<.05.)、NYHAと負相関関係(p<.05)を呈した。【結論】フォンタン術後患者は全体的に体格が小さく、筋肉量(FFMI)が少ない。高頻度に扁平足を合併し、骨密度、25(OH)Dは低値を示した。これらの異常が血行動態との関連や今後の介入についてさらなる検討が必要である。