[II-OR22-04] フォンタン循環患者における肝臓高度線維化症例の予測
Keywords:フォンタン循環, FALD, 肝線維化
【背景】フォンタン手術後患合併症の一つとしてFontan associated liver disease (FALD)があり、高い静脈圧による肝類洞の拡張などにより肝線維化が進行するとされているが、どのような因子が肝臓の高度線維化と関連しているかについては不明な点が未だ多い。【目的】フォンタン手術後患者における、肝線維化の進行に関連する因子を見出すこと。【方法】2014年から2021年までの期間中に、腹部超音波検査、及び心臓カテーテル検査の双方を1年以内に施行されているフォンタン手術後症例71例(のべ75件)を対象とした。肝線維化の評価については、超音波検査上の表面、辺縁、実質の形態を各々スコア化(0-2点)しその合計をUS scoreとして算出、高度線維化症例をUS score 5点以上のものとして定義した。高度線維化例とそれ以外の症例との間で差のある項目を抽出した。検定はMann-Whitney U testを用いp<0.05を有意とした。【結果】男性37例、年齢の中央値は21歳、フォンタン手術後経過年数の中央値は16年であった。肝硬変、肝臓癌発症例はなかった。高度線維化症例は12件、高度線維化例とそれ以外の症例との間で有意差のある項目として、年齢、フォンタン手術後経過年数、性別(男性)、蛋白漏出性胃腸症の既往、肝内高エコースポットの存在、腹水の存在、SpO2、Alb、AST、ALT、γGTP、ChE、ヒアルロン酸、M2BPGi、BNPが抽出された。中心静脈圧, 肺血管抵抗、体心室心係数やFibroScanによる肝硬度などについては二群間で有意な差は見られなかった。重回帰分析の結果、線維化の重症度を説明する変数として、年齢と蛋白漏出性胃腸症の既往が挙がった。【結論】高度線維化症例との関連を示す項目として年齢と蛋白漏出性胃腸症の既往が挙げられる。また血行動態が悪くないと考えられるフォンタン手術後症例でも線維化の進行が見られることがあり得るため、注意が必要である。