[II-P4-2-03] X線動画像 (Dynamic Digital Radiography)の臨床応用
Keywords:X線動画像, Dynamic Digital Radiography, 肺血流シンチ
【背景】デジタルX線動画撮影システム(Dynamic Digital Radiography; DDR、コニカミノルタ)は従来の胸部単純X線撮影と同様に一般X線撮影装置での撮影が可能で、パルスX線を1秒間に約15回連続照射し、コマ撮りした画像を連続表示することで、胸部レントゲン2枚以下の低被曝量(約1.7 mGy)での動画を作成する。実際の動きを観察できる胸部X線動画からは、静止画に比べて非常に多くの情報を得ることができ、臨床応用が期待されている。【目的】DDRのPH-MODE(相互相関計算処理)を用いて、血管の拍動に伴う肺野内濃度変化を抽出し、肺血流シンチグラフィーで得られた左右の肺血流比と比較する。【症例】症例は16歳女性 Scimitar症候群(心房中隔欠損症、右下肺静脈-下大静脈および左上肺静脈-冠状静脈洞結合による部分肺静脈還流異常症、右肺分画症)のため9歳で修復術(右下肺静脈を右心房内tunnelを介して右上肺静脈からの血流とともに左心房にrerouting)を行なった。術後に右横隔神経麻痺を合併した。術後1年で行なった心臓カテーテル検査では右下肺静脈は閉塞しており、側副血行路を介して右上肺静脈に合流していた。【結果】肺血流シンチグラフィーでは右:左=64.4:35.6と左右差があり、換気血流ミスマッチを認めた。DDRのPH-MODEを用いて左右差を計算したところ75.6:24.4と同等の結果が得られた。また左右横隔膜の移動量を定量化することが可能であった。【結論】今回は1症例のみの報告であるが、今後肺換気血流の評価や横隔神経麻痺の定量評価の手段として使用できる可能性がある。