[II-P4-2-04] 小児循環器領域での肺血流シンチによる右左シャント率の有用性の検討
Keywords:肺血流シンチグラフィ, 右左シャント率, 肺体シャント率
【背景】肺血流シンチ撮像時に全身撮像を追加することで、低侵襲に右左シャント率を測定できる。しかし心内シャントがある先天性心疾患やその術後状態など、多様な病態を示す小児循環器領域において、その有用性は定かではない。【目的】どのような病態で肺血流シンチによる右左シャント率が有用かを調べる。【方法】2011年4月から2021年11月に当院小児循環器科で肺血流シンチを行い、全身像による右左シャント率を測定した患者を対象に、その患者のカテーテル検査により算出した右左シャント率との関係を調べた。患者は単心室循環(SV)、二心室循環(BV)にわけ、それぞれNorwood術後、Glenn術後、Fontan術後、姑息術後、根治術後、手術なしのサブグループにおいて線形回帰およびSpearmanの順位相関係数を調べた。【結果・考察】上記期間に当科で肺血流シンチを行った数は287例で、うちカテーテル検査データがあり解析できたのは267例だった。SVは225例、BVは41例、1.5心室修復が1例だった。肺血流シンチとカテーテルによる右左シャント率の相関は、SVでは姑息術後(順位相関係数0.51, p=0.03)、手術なし群(1.00, p=0.00)で高く、Fontan術後(0.35, p=0.00)でやや弱い相関となり、Glenn術後(0.26, p=0.37)では相関が低く有意でもなかった。上下肢からの核種投与量の誤差が出やすいこと、側副血行による左右シャントの影響が出たこと等が考えられる。BVでは根治術後(0.51, p=0.02)で相関が高く、姑息術後(0.34, p=0.20)では相関が低い傾向で、手術なし群(0.78, p=0.12)では症例数が少なく有意差は出なかったが相関係数は高かった。BVの手術なし群はHPAH、PVO等シャントのない疾患が中心であり、相関が高い傾向にあった。【結論】肺血流シンチによる右左シャント率は、左右シャントの影響が少ない群でカテーテルによるシャント率と相関関係が高いが、左右シャントが多い病態ではその値の評価に注意を要する。