The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

集中治療・周術期管理

ポスター発表(II-P4-3)
集中治療・周術期管理 I

Fri. Jul 22, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場

座長:上田 秀明(神奈川県立こども医療センター 循環器内科)
座長:宮本 朋幸(横須賀市立うわまち病院 小児医療センター 小児科)

[II-P4-3-05] フレカイニド中毒・難治性心室頻拍に対して、体外式膜型人工肺(ECMO)を用いて救命しえた乳児例

田邊 雄大1,2, 芳本 潤3,4, 阪井 彩香1, 山手 和智1, 川野邊 宥1, 大井 正1, 玉利 明信1, 佐藤 光則1, 秋田 千里1, 元野 憲作1, 川崎 達也1 (1.静岡県立こども病院 集中治療科, 2.静岡県立こども病院 循環器集中治療科, 3.静岡県立こども病院 不整脈内科, 4.静岡県立こども病院 循環器科)

Keywords:フレカイニド, ECMO, 不整脈

【背景】フレカイニドは1c群に属する抗不整脈薬である。乳幼児では、ミルクにより吸収が阻害され、血中濃度が低下しやすいが、中毒域までの幅は狭く中毒に注意が必要である。今回我々はフレカイニド中毒による難治性心室頻拍を経験し、ECMO使用し救命したので、報告する。【臨床経過】症例は1ヶ月男児。数日間の哺乳不良を契機に、心拍数250bpmの上室頻拍と判明。ATPで頻拍停止出来ず、当院に紹介搬送。循環不全のために、前医にて気管内挿管。当院入院時はATP 0.4mg/kgで頓挫し、心電図から潜在性WPW症候群と診断。フレカイニド 100mg/m2/dayを開始し、頻拍発作の再燃なし。誤嚥性肺炎に対して呼吸管理を継続。入院3日目にQRS幅=108msecに延長し、フレカイニドを75mg/m2/dayに減量。入院5日目心室頻拍を発症。同期下除細動・アミオダロン無効。徐々に血圧維持できず、ECMO導入。導入直前のフレカイニド血中濃度は1007ng/ml(入院3日目は438ng/ml)。ECMO導入後は正常洞調律へ復帰。ECMO使用期間は11日間。頭部MRIも含めて中枢神経後遺症は認めなかった。1歳前後を目処に、電気生理検査・アブレーション治療を計画し、アミオダロン・プロプラノロールで内服管理中。【考察】経腸栄養を見越して投与量を100mg/m2/dayとしたが人工呼吸器管理中に経腸栄養が少なかったため、結果的に血中濃度が急上昇したと考察される。乳児ではフレカイニドの半減期が長いためQRS幅をモニターし延長し始めた段階で、休薬により回避できた可能性が示唆された。【結語】フレカイニド中毒による難治性心室頻拍に対するECMO救命例を経験した。挿管管理中・絶食中には、フレカイニド血中濃度が急上昇する可能性があるので、血中濃度に加えQRS幅も確認しながら投与量の慎重な調整が必要だと思われた。