[II-P4-4-11] 川崎病後冠動脈障害の血行動態評価:心臓カテーテル検査のFFRと13N-アンモニアPETのCFRの比較検討
Keywords:川崎病後冠動脈障害, 冠血行動態評価, 心筋虚血
【背景】川崎病後冠動脈障害(CAL)では造影検査による形態的診断のみならず、冠血流予備能比(FFR)による冠血行動態評価が重要である。一方2012年4月から13N-アンモニアPET検査が保険適用となり、細部における定量的冠動脈血流予備能(CFR)の評価が可能となった。【目的】FFRとCFRはどちらも心筋虚血の有無を判断する指標であるが、今回CALにおけるFFRとCFRの関係を検討し、形態的評価も含めてその指標の意味を考察した。【対象】CALに対して、心臓カテーテル検査および13N-アンモニアPETを施行した24枝を対象とした。24枝の内訳はRCAが7枝、LADが11枝、LCXが6枝であった。【方法】心臓カテーテル検査施行時にCALの遠位部でFFRを測定し、13N-アンモニアPETにて同一枝の支配領域でのCFRとの比較検討を行った。FFR 0.8以上、CFR 2.0以上が正常とされている。【結果】19枝でFFRとCFRの正常と異常の整合性を認めた。FFRとCFRの結果が一致しないものは5枝あり、FFRが正常であるがCFRが異常であるものが2枝、FFRが異常でCFRが正常であるものが3枝であった。 【考察】今回CFRのみ異常値を呈した2枝はいずれも狭窄性病変を認めず、そのうち1枝は末梢循環障害の存在、もう1枝は安静時の血流が多いためCFRが低値になったと考えられた。一方、FFRのみ異常値を呈した枝は末梢循環障害を認めないが、90%以上の狭窄性病変が存在するためFFRが低値になっていると考えられた。FFRは冠血流障害におけるepicardial arteryの局所性病変の寄与を示す指標である一方、CFRは局所性病変に加え冠微小循環の評価も加味した指標である。そのためFFRとCFRを合わせることでより精度の高い冠循環評価が可能になると考えられた。