[II-P4-7-05] 多発性の冠動脈狭窄のため心筋梗塞を発症した13歳の1例
Keywords:多発性, 冠動脈狭窄, 心筋梗塞
【初めに】 川崎病罹患後の冠動脈病変では冠動脈狭窄を合併しうる事は広く知られているが、自己免疫疾患などでも冠動脈狭窄の合併が報告されている。冠動脈狭窄と関連する基礎疾患を認めず、心筋梗塞から多発性の冠動脈狭窄の診断に至った13歳の症例を経験した。【症例】 13歳 男児、周産歴・発達歴で異常の指摘なし、亜急性壊死性リンパ節炎にて6歳時から2-3年に1回発熱があったがCRPの上昇は一度も認めていなかった。13歳時、歩行時に左前胸部・左肩・左腕に疼痛あり、前医で心電図検査・血液検査・胸部造影CT検査から冠攣縮性狭心症と診断、ニトロペン使用のうえ7日後に当センターへ紹介受診となった。胸痛は改善、心エコーでasynergy認めず心収縮能も保たれていたが、血液検査にてTrop-I弱陽性、心電図にてIII誘導で異常Q波・V1-2でST変化を認めていた。冠動脈造影で多発性の冠動脈狭窄(#11 0.99, #9 0.90, #4AV 0.75, #4PD 0.75, #3 0.50)を認め、硝酸イソソルビド投与で改善が見られなかった。病歴から川崎病が鑑別に挙げられたが、CRP上昇歴がなかった事・冠動脈瘤病変はない事から否定、血液検査からSLEなどの自己免疫疾患も否定、今後の冠動脈狭窄増悪の可能性からCABGは回避すべきで、冠動脈狭窄に対する治療はPCIが妥当と考えた。胸部造影CT検査再検・心筋シンチなどから#9領域はviabilityあるものの近位部病変のためPCIで#11血流を障害する可能性が高いと判断、#11に対してのみPCI施行(発症23日目)、粥状硬化というより線維性硬化で治療抵抗性であったがPOBAにて改善が得られた。負荷シンチで虚血の軽減が確認でき、運動負荷で心筋虚血を生じない事を確認、外来フォローへと移行した。【まとめ】 有意な基礎疾患を有しない小児期に多発性の冠動脈狭窄から心筋梗塞を発症した1症例を経験した。原疾患不明のため再増悪も懸念されるため、慎重なフォローアップが必要である。