[II-P5-2-09] 先天性心疾患術後の胆汁うっ滞
Keywords:胆汁うっ滞, 心疾患術後, 乳児
【緒言】先天性心疾患は、乳児期の胆汁うっ滞のリスクファクターとされている。今回我々は、先天性心疾患の術後に胆汁うっ滞を認めた3乳児例を経験したので報告する。【症例】3症例の、胆汁うっ滞の発症月齢は、1・2・7ヵ月であった。心疾患は、DORV、MGA、CoAが2例、AVSD、CoAが1例であり、心臓外科術後3週間、5週間、7か月で発症した。発見の契機は、2例が定期採血でのγGTPの上昇、1例は白色便であった。各症例のγGTPの最高値は484・529・2040 U/Lで、総胆汁酸の最高値は8・41・152μM/Lであった。2例に胆嚢及び総胆管内の胆泥を認め、1例は総胆管内に胆石を認めた。治療は、全例にUDCAとフロプロピオンの内服を、2例は絶食管理を行った。治療開始から検査異常の改善までの期間は、8・20・28日であった。2例にED tubeの使用歴があり、1例は21トリソミーの症例で軽度の十二指腸狭窄を合併していた。全例で経腸栄養の確立遅延があり、それぞれ術後の呼吸循環不全に対する長期集中治療と乳び胸水、十二指腸狭窄、口唇口蓋裂による空気嚥下や呼吸不全に伴う消化不良が原因であった。【考察】乳児期の胆汁うっ滞は、もともとの胆汁分泌の未熟性に加え、経腸栄養確立遅延や感染症、低酸素や再潅流障害等の複合的要因が原因とされている。加えて先天性心疾患の症例では、周術期の長期間の絶食や低心拍出状態、肝うっ血等が増悪因子と報告されている。これらのリスクファクターのある症例においては、胆汁うっ滞を来す可能性があることを念頭においたフォローを行い、早期発見と適切な介入を行うことが、将来的な肝臓の予後を守ることにつながると考える。