The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

川崎病・冠動脈・血管

ポスター発表(II-P5-3)
川崎病・冠動脈・血管 IV

Fri. Jul 22, 2022 4:40 PM - 5:40 PM ポスター会場

座長:上砂 光裕(日本医科大学多摩永山病院 小児科)
座長:藤原 優子(町田市民病院 小児科)

[II-P5-3-02] 成人後の遠隔期になり進行性の瘤拡大を示し冠動脈バイパスおよび冠動脈形成術を要した川崎病性巨大冠動脈の一例

安藤 達也, 増田 詩央, 馬場 俊輔, 伊藤 怜司, 藤原 優子 (東京慈恵会医科大学 小児科)

Keywords:川崎病, 巨大冠動脈瘤, 拡大

【背景】γグロブリンを中心とする標準治療確立以前の川崎病症例では冠動脈に遺残病変を残し抗血栓治療を生涯必要とするものが少なくない。これらは主に瘤内の血栓形成や狭窄性病変に伴う心筋虚血が問題でカテーテル治療や手術治療の対象となり得るが、冠動脈瘤そのものの進行性拡大が遠隔期に問題となり手術に至るケースは極めて稀である。今回、我々は川崎病発症から30年以上を経て冠動脈瘤が急拡大し手術に至った最大48mm径の巨大冠動脈症例につき文献的考察を含め報告する。【症例】46歳女性、1980年(5歳時)に川崎病に罹患したが、有熱期には川崎病の診断に至らず川崎病に対する治療は受けないまま、診断時には既に左冠動脈に巨大冠動脈瘤を合併していた。その後、抗血栓治療を継続しつつ経過観察。幼少期から心エコーの他、冠動脈造影や冠動脈CTで冠動脈瘤の経時的評価を行っていたが、成人まで長期にわたり大きな変化は見られなかった。しかしその後、26歳時に最大径12mmであった径が37歳時には24mmに拡大、38歳では29mm、さらに41歳では37mmと急拡大がみられた為、切迫破裂のリスクと判断し手術を勧めたが本人が手術を頑なに拒否し続け43歳時には48mm(計測は冠動脈CT)まで拡大した。そこで漸く家族を巻き込んだ説得に応じ、冠動脈バイパス手術/冠動脈形成を施行しえた。冠動脈に狭窄性病変は無かった。【考察】通常の川崎病性巨大冠動脈瘤と異なり、遠隔期に進行性の拡大を示す冠動脈瘤では石灰化や瘤内の壁在血栓形成を伴わず血管壁の組織からも別個の病変である事が示唆されている。本症例でも経過中の画像診断で石灰化病変が無く、冠動脈造影では極端な造影剤の停滞、負荷心筋シンチではそれに伴う末梢の虚血所見を示すにも関わらず壁在血栓形成は無かった。稀であるが故にこのような症例は自然歴や手術適応が明確でなく個々に対処されているのが現状であり今後同様な症例の蓄積が望まれる。