[II-P5-7-01] 二心室循環における房室弁逆流に対するInterannular bridging
Keywords:interannular bridging, 房室弁逆流, 2心室
背景: 小児期における僧帽弁(MV)/三尖弁(TV)逆流に対しては弁形成術が望ましいが、逆流の複雑な要因により、従来の手技だけで弁接合を改善し中央部からの逆流を抑えることは容易ではない。今回、MV/ TV逆流に対するinterannular bridgingの有用性を検討した。方法: 2014年1月から2021年12月にMV、TV逆流に対してinterannular bridgingを施行した10例を対象とし、後方視的に弁狭窄/逆流の進行、弁輪径や再介入の有無を検討した。結果:全10例(TV:4例、MV:6例)であった。手術時はTV:中央値5.8 (1.4 - 14)歳、体重=中央値13.0 (8.4 - 41.2) kg、MV:中央値3.7 (0.3 - 7.0 )歳、体重=中央値11.2 (4.8 - 18.3)kgであった。弁サイズ(Z-value)はTV:中央値0.19 (-1.13 - 4.69)で狭窄を伴うものはなく、MV:中央値2.19 (-0.52 - 4.44)で、中等度以上の狭窄は1例であった。併施した形成手技はTV、MVともにcommissuroanuro plasty、artificial chordae、leaflet reconstructionなど多岐で、形成後の術中計測の弁サイズ(Z-value)はTV:中央値0.19 (-1.13 - 4.69)、MV:中央値-0.54 (-2.81 - 1.87)であった。follow upはTV:中央値78 (11 -94)ヶ月 MV:中央値30 (4 - 61)ヶ月で死亡、再介入はなく、中等度以上の逆流はTVで1例に認めた(直近は軽度に改善)。中等度以上狭窄はなく、TV、MVともに術後6ヶ月までは平均圧較差は軽度上昇したが経時的に低下する傾向を認めた(平均圧較差TV / MV: 中央値;退院時2.5 / 3.5→6ヶ月3.3 / 4.5→直近2.5 / 3.6 mmHg)。弁サイズ(Z value)は退院時から直近で、TV:中央値 -1.17 (-3.7 - 0.85)→中央値 -0.59 (-1.2 - 2.01) (p = 0.13)、MV:0.98 (-1.68 - 1.46)→中央値 0.61 (-0.77 - 1.36) (p = 0.36)で、体格相当の成長を認めた。結語Interannular bridgingは二心室循環においても、従来の形成手技で制御困難な房室弁逆流に対して、弁成長の可能性を維持した有用なアプローチとなる可能性がある。