[II-P5-7-13] チアノーゼ性心疾患に対する心臓手術での心筋保護液の検討とTerminal warm blood cardioplegiaに関する研究
Keywords:心筋保護液, Terminal warm blood cardioplegia, チアノーゼ性心疾患
【目的】小児心臓手術において心筋保護法は手術成否に重要であり、依然として術後著しく心機能が低下する例も存在する。今回当院の心筋保護法とTerminal warm blood cardioplegia(TB)の効果に関し検討を行った。【方法】ファロー四徴症に対して心内修復術を施行した7名を対象とし、予め乱数表でランダム化しておいた7名のうち4名にTB投与を行い(H群)、3名は従来通りTB投与を施行しなかった(C群)。 【結果】手術は全例弁輪温存での心内修復術を施行。術前→術直後→術後6時間後→術後1日目→術後2日目のCK-MB, トロポニンTの推移(H群,C群)はCK-MB (23, 30→ 279, 196→ 161, 113→ 117, 63→ 41, 27)、トロポニンT (0.013,0.008→ 6.83, 5.37→ 3.31, 3.13→ 2.86, 1.70→ 2.20, 1.13) 。大動脈遮断解除から自然自己心拍再開までの時間はH群 72秒, C群 100秒、大動脈遮断解除から人工心肺離脱までの時間はH群 30分, C群 46分、人工心肺時間はH群 141分, C群138分。両群とも術中除細動は施行せず。人工心肺離脱時のカテコラミン量はH群 DOA4γ:1名、DOA 5γ:3名でC群ではDOA2.5γ、DOA 5γ、DOA 5γ+ AD 0.1γがそれぞれ1名。術後人工呼吸器離脱時間 H群 8.8h, C群 11h、ICU滞在日数 H群 1日, C群 1.3日、術後ドレーン留置日数 H群 4日, C群 4.7日、術後入院日数 H群 12.3日, C群 14.3日。術後合併症をC群 2名に認めた(腹水貯留、心嚢水貯留)。【考察】術後心筋酵素に関してはTBの有無で大きな差は認めなかった。H群はC群と比較して自然自己心拍再開までの時間、人工心肺時間は短く、カテコラミン使用量も少ないように見受けられた。術後人工呼吸器離脱時間、術後ドレーン留置期間、術後入院期間はC群でやや長い傾向があり、腹水や心嚢水の貯留はC群でのみ認められた。チアノーゼ性心疾患心臓手術でTBを投与することは虚血再灌流障害を軽減し、術後心機能や術後経過に一定の効果を得られる可能性があると考えられた。