[II-SY09-04] Norwood手術時の肺血流路作成法が遠隔期の右室機能に与える影響
キーワード:左心低形成症候群, Norwood手術, 右室機能
【背景】RV-PAを用いたNorwood手術では心室切開による右室機能低下が危惧されるが、dunk法は切開が最小限ですみ右室機能低下を軽減する可能性がある。肺血流路作成法が右室機能に与える影響をMRIで評価した。【対象と方法】Fontanに到達したHLHS(AA/MAまたはAA/MS) 26例を、BTシャント(BT群=7例)、従来型RV-PA(cR群=14例)、dunk法RV-PA(dR群=5例)に群別した。Feature tracking MRで長軸、短軸および円周方向のstrain(GLS、GRS、GCS)とstrain速度(GLSR、GRSR、GCSR)を測定した。また長軸・短軸断面で心室壁を6分割してstrainのtime-to-peakを測定し、その最大遅れ(maximum delay, MD)と標準偏差(SD)で心室内同期性を評価した。【結果】以下、BT/cR/dR群の順で値を示す。MRI検査時の年齢(5.9±1.5/11.1±1.1/4.1±1.7才)でcR群が年長であった(p<0.05)。心室容量解析ではRVEDVI、RVESVIに差なく、RV mass index(52.7±6.4/74.3±4.2/65.6±7.0)はcR群が大であった。RVEF、CIに差なし。cR群では右室切開部の壁菲薄化を14例中11例に認めた。Strain解析では、長軸方向のGLS、GLSR、LS-MD、LS-SDに差なし。短軸方向のGRS(17.3±2.0/14.8±1.4/17.3±2.4)、GRSR(1.1±0.1/0.9±0.1/1.1±0.1)はcR群で低く(有意差なし)、RS-MD(91±11/125±8/96±13)、RS-SD(37±4/50±3/42±5)でありcR群の同期性が悪かった(BT-cR群間でp<0.05)。円周方向のGCS(-11.9±1.1/-10.6±0.8/-12.0±1.4)、GCSR(-0.8±0.1/-0.7±0.0/-0.8±0.1)はc-R群で悪く(有意差なし)、CS-MD(91±10/125±7/101±12)、CS-SD(35±4/49±3/42±5)でありcR群の同期性が悪かった(BT-cR群間でp<0.05)。【結語】従来型RV-PAではstrain低下と心室内同期不全が見られ、右室切開部の壁菲薄化が原因と考えられた。dunk法RV-PAではstrainや心室内同期性が保持されていた。dunk法は右室機能低下を軽減させる有用な方法と考える。