[II-SY10-03] JROAD-DPCデータを用いた成人先天性心疾患死亡例の実態調査 -重症度別の検討-
キーワード:成人先天性心疾患, 死亡, 終末期
【背景・目的】成人先天性心疾患患者の増加は顕著だが、死亡時年齢や治療内容などの終末期像は明らかでない。本研究の目的はJROAD-DPCデータベースを用い、成人先天性心疾患患者の終末期像を明らかにすることである。【方法】2013年から2017年までのデータを用い、ICD10コードを用いて先天性心疾患患者の抽出を行った。疾患複雑性重症度(以下、重症度)はACC/AHA2008ガイドラインや成人先天性心疾患対策委員会レジストリーを参考に分類した。15歳以上の死亡例を解析対象とし、死亡時年齢、院内死亡の状況、院内心肺蘇生実施の有無、実施された侵襲的治療の内容について重症度別に検討を行った。【結果・考察】659人の死亡例が抽出された。性別は男性325人(49.3%)、女性334人(50.7%)、重症度は軽症411人(62.4%)、中等症152人(23.1%)、重症96人(14.6%)であった。死亡時年齢中央値は軽症76歳、中等症49歳、重症37歳で、重症度が高いほど死亡時年齢が若かった。院内死亡の状況は、入院7日以内の院内死亡は軽症37.5%、中等症44.7%、重症33.3%、入院8~30日以内の院内死亡は軽症38.2%、中等症30.9%、重症31.3%であり、入院後7日以内に死亡する患者が4割程度であった。院内心肺蘇生は軽症28.5%、中等症38.2%、重症49.0%で実施されており、重症例で心肺蘇生が行われる割合が高かった。実施された侵襲的治療の内容は、IABP(軽症7.1%、中等症5.9%、重症12.5%)、PCPS(軽症6.6%、中等症9.9%、重症21.9%)、人工呼吸器(軽症38.9%、中等症46.1%、重症54.2%)であり重症度が上がるほど侵襲的治療を受ける割合が高かった。【結論】成人先天性心疾患患者は、入院後7日以内に死亡する割合が4割程度であること、重症度が高いほど死亡時年齢が若く、死亡した入院において侵襲的治療を受ける割合が高いことが全国的なデータから初めて明らかとなった。