[II-SY10-05] 重症心不全を伴う成人先天性心疾患症例のEnd of life care
Keywords:緩和ケア, ACP, DNAR
【背景】成人先天性心疾患(ACHD)患者のEnd of life care(EOLC)は,Advance care planning(ACP)のタイミングやその方法について手探りの状態である.【目的】当院で経験したEOLCを検証する.【方法】当院で重症心不全のため18歳以上で死亡した症例について臨床的特徴,最終入院前後経過,ACP,多職種サポートについて臨床録から調べた.【結果】対象は7症例(男性4例)の基礎疾患は,DILV肺動脈絞扼術後,三尖弁閉鎖フォンタン術後,孤立性右室心尖部低形成・ASD術後,VSD PS TS1.5心室復術後,TGAマスタード術後,PDA・Eisenmenger症候群(ダウン症)であった.入院時年齢の中央値は41歳(18~51歳),入院期間の中央値は103日(3~154日).入院前に気管切開による在宅人工呼吸器療法が1例,HOTが3例に行われていた.入院後5例で強心剤治療が行われ,1例で気管内挿管による人工蘇生が行われた. DNARを含むACPは入院前に1例ダウン症の母親のみに行われていたが,3例は入院後本人と家族に,2例は母親のみに行われた.4例において,ACP前後で緩和ケアーチームによるカンファレンスが週に1回行われ,病棟看護師,慢性心不全看護認定看護師,リエゾン精神看護専門看護師らがサポートした.また,2例においては,多職種と在宅医とのカンファレンスを経て在宅移行し,それぞれ退院7日後と6ヶ月後の死亡直前まで家族と過ごせた.【考察】多職種サポートによる個々の症例にあったEOLCは充実しつつあるが、対象症例のACPは,DNARの同意書をとるために行われているのが現状であった.よって,広義のACPを可能な限り移行期から開始し,心臓移植適応外と判断された時点で狭義のACPを行えるシステム構築が重要であると考えられた【結論】ACHD症例のEOLCは,本人および家族が満足できるEOLを送れるよう,可能な限り移行期からACPを開始し,個々の症例に合った多職種サポートによるケアーを行えるシステム構築が望ましい.