[II-SY11-05] 小児期発症拡張型心筋症の学校心臓検診時の心電図の検討
Keywords:拡張型心筋症, 心電図, 学校心臓検診
【背景と目的】本邦では学童突然死の予防のため学校心臓検診において心電図スクリーニングが行われている。拡張型心筋症における心電図変化として左室高電位や異常Q波、QRS幅延長、脚枝ブロック、ST-T変化が出現するとされているが、学校検診での抽出力については十分な検討がなされていない。【方法】各施設で拡張型心筋症と診断された患者の学校心臓検診時(小1、中1、高1)の12誘導心電図を後方視的に収集し、現在の2次検診対象者抽出のガイドライン2019年改訂(JSPCCS 2019)にのっとりA群:2次以降の検診に抽出すべき所見、B群:その所見単独では必ずしも抽出しなくとも良い所見、C群:学校心臓検診では取り上げなくても良い所見の有無について確認し、最終的に二次検診に抽出されるか検証した。【結果】拡張型心筋症と診断されていた55例(小1:30例/中1:26例/高1:25例(重複22例))の心電図を検討した。小1/中1/高1でA群:12例(40%)/11例(42%)/12例(48%)、B群:5例(19%)/2例(8%)/5例(20%)、C群:2例(7%)/5例(19%)/0例で、それぞれの所見は異常Q波:2例/0例/0例、WPW:2例/1例/0例、心肥大:3例/2例/5例、QRS延長/脚ブロック:3例/7例/3例、ST-T異常:2例/5例/6例、不整脈:3例/2例/3例、軸偏位:4例/3例/4例であった。有意な所見がなかったのが13例(37%)/8例(31%)/8例(32%)おり、C群と合わせて必ずしも二次検診されない例が17例(43%)/13例(50%)/8例(32%)であった。【考察とまとめ】現行の心肥大基準を満たす例は少なく、小学生より中高生でT波異常を呈する傾向があった。現行の抽出基準では拡張型心筋症と診断されている半数弱が二次検診に抽出されず新たなアプローチが必要と考えられる。【研究協力者(敬称略】石川友一、泉田直己、市田蕗子、牛ノ濱大也、太田邦雄、安田 和志、田内宣生、立野滋、長 嶋正實、櫨木大祐、畑忠義、廣野恵一