[II-SY11-04] 若年期肥大型心筋症の心電図所見における致死性不整脈のリスク因子についての検討
Keywords:肥大型心筋症, 致死性不整脈, 心電図
【背景】心電図所見から肥大型心筋症(HCM)を検出する基準、中でも致死性不整脈を発症する高リスク群の抽出基準についてはまだ十分に明らかにされていない。
【目的と方法】当院初診時30歳以下のHCM患者を対象とした。患者抽出には左室壁厚15mm以上を基準とし、左心系閉塞性疾患を除外した。対象18例の患者背景、心エコー所見、心電図所見、致死性不整脈を発症するリスク因子について後方視的に検討した。
【結果】年齢は平均17.3歳(月齢2ー29歳、16歳以下9例)、男性11例だった。形態分類はasymmetrical type(ASH)が16例、diffuse type, apical HCMがそれぞれ1例だった。家族歴は8例(44%)に認めた。心エコー所見は、LVEF 平均74 (49ー89)%, 左室中隔壁厚 平均23(15.5ー38)mm, 左室後壁厚 平均10(6ー20)mmであった。左室流出路閉塞を11例に認めた。心電図所見は完全右脚ブロックを2例、完全左脚ブロックを2例に認めた。平均QRS幅は127ms, 平均QRS軸 ー18°、Voltage criteriaについてはSV1+RV5 or 6波高は平均3.2mVで特にASH typeでは全例でV5,6R波高のpoor progressionを認めた。RV3+SV3波高は平均3.99mVだった。V4の陰性T波は6例で、そのうち4例に胸部誘導における孤立性のT波陰転化もしくはT波の不連続性を認めた。致死性不整脈のイベント(自然発生もしくは電気生理学検査による誘発)は5例に認め、うち4例において先述のT波の異常所見を認めた。
【考察】若年期に多いASH type HCMはV5,6誘導のR波高が低い傾向にある。中隔単独の肥大はV3,4誘導に反映されうるが、おそらく起電力のベクトルが単一方向ではないためvoltage criteria単独での検出は難しい。一方、心尖部肥大型心筋症におけるV5,6誘導の巨大陰性T波のようにASH typeにおいて先述のT波の異常所見は再分極異常を反映している可能性がある。
【結語】若年期HCMにおいてV4誘導の陰性T波やT波の不連続性は致死性不整脈イベントの高リスク因子である可能性がある。
【目的と方法】当院初診時30歳以下のHCM患者を対象とした。患者抽出には左室壁厚15mm以上を基準とし、左心系閉塞性疾患を除外した。対象18例の患者背景、心エコー所見、心電図所見、致死性不整脈を発症するリスク因子について後方視的に検討した。
【結果】年齢は平均17.3歳(月齢2ー29歳、16歳以下9例)、男性11例だった。形態分類はasymmetrical type(ASH)が16例、diffuse type, apical HCMがそれぞれ1例だった。家族歴は8例(44%)に認めた。心エコー所見は、LVEF 平均74 (49ー89)%, 左室中隔壁厚 平均23(15.5ー38)mm, 左室後壁厚 平均10(6ー20)mmであった。左室流出路閉塞を11例に認めた。心電図所見は完全右脚ブロックを2例、完全左脚ブロックを2例に認めた。平均QRS幅は127ms, 平均QRS軸 ー18°、Voltage criteriaについてはSV1+RV5 or 6波高は平均3.2mVで特にASH typeでは全例でV5,6R波高のpoor progressionを認めた。RV3+SV3波高は平均3.99mVだった。V4の陰性T波は6例で、そのうち4例に胸部誘導における孤立性のT波陰転化もしくはT波の不連続性を認めた。致死性不整脈のイベント(自然発生もしくは電気生理学検査による誘発)は5例に認め、うち4例において先述のT波の異常所見を認めた。
【考察】若年期に多いASH type HCMはV5,6誘導のR波高が低い傾向にある。中隔単独の肥大はV3,4誘導に反映されうるが、おそらく起電力のベクトルが単一方向ではないためvoltage criteria単独での検出は難しい。一方、心尖部肥大型心筋症におけるV5,6誘導の巨大陰性T波のようにASH typeにおいて先述のT波の異常所見は再分極異常を反映している可能性がある。
【結語】若年期HCMにおいてV4誘導の陰性T波やT波の不連続性は致死性不整脈イベントの高リスク因子である可能性がある。