[II-SY11-03] 学校心臓検診の心電図異常を契機に診断された心筋症の臨床像と診断の問題点
Keywords:学校心臓検診, 心電図, 心筋症
【はじめに】若年突然死の20-30%は心筋症が原因と報告されており、突然死防止にも学校心臓検診での早期発見が望ましい。【対象・方法】2004年~学校検診の心電図異常で受診し、心筋症と診断した10例。診断:DCM4例、HCM3例、左室心筋緻密化障害(LVNC)2例、RCM1例。診断時学年:小1年4例、中1年6例。観察期間:30-204(med.140)月。心電図所見、管理、予後、問題点について診療録を基に後方視的に検討した。【学校検診の指摘(学)と受診時(受)の心電図所見の比較】DCM(1)学;I°AVB→受;II°AVB+平低T、DCM(2)学;ST上昇→受;平低T、DCM(3)学;rSR’→受;RSr’、DCM(4)学;左軸偏位→受;左脚前枝ブロック+ I°AVB、HCM(1)学;LVH→受;LVH+陰性T、HCM(2)学;LVH→LVH+左軸偏位+ST上昇、HCM(3)学;WPW→受;WPW、LVNC(1)学;洞性不整脈→受;WNL(呼吸性不整脈)、LVNC(2)学;LQT→受;陰性T、RCM学;LVH+左房負荷→受;左房負荷+平低T。【管理・予後】DCM/LVNCの1例が診断時から運動管理D+ACE-i、他はE禁/可(1例β遮断薬追加)で経過、死亡なし。HCMの2例は診断時からD+経過中にβ遮断薬開始、1例は基礎疾患のミトコンドリア脳筋症を原因に死亡、RCMは診断時から運動管理C+抗心不全内服開始したが進行しVf→ICD→ベルリンハート→心臓移植(診断6年後)。【問題点】DCM1例、HCM1例に家族歴あるも中1の検診で初めて精査・診断。運動強化選手を断念せざるを得なかったDCM1例、不登校、受診中断となったHCM1例を経験。【考察】学校心電図ではT波の平低/陰性を指摘されていないものが目立ち、家族歴の検出漏れも見られた。DCM/LVNCは比較的軽症が多かったが全体では半数に診断時から積極的な運動管理を行っており、無症状の時期に診断する機会となる学校心臓検診の意義は大きいと考えられた。