[II-SY11-02] 小児肥大型心筋症における心血管イベント予測因子としての心室再分極異常
Keywords:肥大型心筋症, 突然死, Tp-e
【目的】肥大型心筋症(HCM)は心血管イベント(致死的不整脈・心臓突然死)の主因となるため、その管理においてリスク層別化と早期介入が重要である。12誘導心電図T波の頂点(Tp)から終末点(Te)までの時間(Tp-e)は貫壁性再分極時間のばらつき(dispersion)を反映し、成人HCMではそれらが心室不整脈予測因子とされるが小児でその有用性は検証されていない。
【方法】1992-2021年に加療した小児期発症HCMを対象とし、初診時及び最終観察時(または心血管イベント発症直前)の心電図所見でTp-e(心拍数補正)とTp-e/QTを心血管イベント(死亡を含む)の有無において比較検討した。
【結果】対象25例(男11例)において診断時年齢3.9(0.4-12.5)歳、家族歴10例、最大左室壁厚Z値6.4(4.95-9.75)だった。初診時における5年以内の突然死リスクは1.42(1.15-2.58)%で3例が中等度以上のリスクであった。観察期間85(38-146)か月中、心血管イベント7例(死亡4例)だった。心血管イベント有無に関する2群間比較で、性別(P=1.000)、家族歴(P=0.378)、最大左室壁厚Z値(P=0.431)において有意差はなかった。5年以内の突然死リスクは心血管イベント発症群で有意に高値だった(2.90 vs.1.25%、P=0.012)。また心血管イベント発症群で診断時年齢が有意に高く(12.5 vs. 0.9歳、P=0.037)、学校検診診断例が多かった(57 vs. 11%、P=0.032)。心電図所見は初診・最終観察時共に心拍数、異常Q(P=0.673)、ST-T変化(P=0.355)、QTc時間(P=0.155)において有意差はなかったが、初診と最終観察時Tp-eは心血管イベント群で有意に高値だった(初診時70 vs. 54 msec、P=0.007;最終観察時103 vs. 78 msec、P=0.020)。初診時Tp-e/QTの有意差はなかったが(P=0.123)、最終観察時Tp-e/QTは心血管イベント群で有意に延長していた(0.28 vs. 0.22、P=0.046)。
【結論】小児肥大型心筋症において、心電図Tp-e及びTp-e/QTは心血管イベントのリスクを予測する有用な因子となり得る。
【方法】1992-2021年に加療した小児期発症HCMを対象とし、初診時及び最終観察時(または心血管イベント発症直前)の心電図所見でTp-e(心拍数補正)とTp-e/QTを心血管イベント(死亡を含む)の有無において比較検討した。
【結果】対象25例(男11例)において診断時年齢3.9(0.4-12.5)歳、家族歴10例、最大左室壁厚Z値6.4(4.95-9.75)だった。初診時における5年以内の突然死リスクは1.42(1.15-2.58)%で3例が中等度以上のリスクであった。観察期間85(38-146)か月中、心血管イベント7例(死亡4例)だった。心血管イベント有無に関する2群間比較で、性別(P=1.000)、家族歴(P=0.378)、最大左室壁厚Z値(P=0.431)において有意差はなかった。5年以内の突然死リスクは心血管イベント発症群で有意に高値だった(2.90 vs.1.25%、P=0.012)。また心血管イベント発症群で診断時年齢が有意に高く(12.5 vs. 0.9歳、P=0.037)、学校検診診断例が多かった(57 vs. 11%、P=0.032)。心電図所見は初診・最終観察時共に心拍数、異常Q(P=0.673)、ST-T変化(P=0.355)、QTc時間(P=0.155)において有意差はなかったが、初診と最終観察時Tp-eは心血管イベント群で有意に高値だった(初診時70 vs. 54 msec、P=0.007;最終観察時103 vs. 78 msec、P=0.020)。初診時Tp-e/QTの有意差はなかったが(P=0.123)、最終観察時Tp-e/QTは心血管イベント群で有意に延長していた(0.28 vs. 0.22、P=0.046)。
【結論】小児肥大型心筋症において、心電図Tp-e及びTp-e/QTは心血管イベントのリスクを予測する有用な因子となり得る。