The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム12(II-SY12)
画像診断・シミュレーション医学によるテクノロジーとその実用:~病態生理の解明から治療戦略のアセスメントに至るまで~

Fri. Jul 22, 2022 8:30 AM - 10:00 AM 第3会場 (大ホールC)

座長:板谷 慶一(大阪市立大学 心臓血管外科)
座長:高橋 健(順天堂大学浦安病院 小児科)

[II-SY12-01] リアルとバーチャルの融合:3Dレプリカとコンピュータシミュレーションを用いた先天性心疾患手術の新たな支援システム"ped UT-Heart"の開発研究

白石 公1, 黒嵜 健一1, 帆足 孝也2, 市川 肇2, 畑中 克宣3, 岡野 貴史4, 中西 聖5, 鷲尾 巧6, 岡田 純一6, 杉浦 清了6, 久田 俊明6 (1.国立循環器病研究センター小児循環器内科, 2.国立循環器病研究センター小児心臓外科, 3.クロスエフェクト(株), 4.(株) JMD, 5.PIA (株), 6.東京大学フューチャーセンター推進機構)

Keywords:複雑先天性心疾患, シミュレーション, 医療機器開発

[背景と目的]複雑な先天性心疾患(CHD)の外科手術には、手術の解剖学的デザインを適切に行うことと、術後の血行動態を事前に正確に予測することが重要である。我々は患者のMSCT画像データから精密3D printingと真空注型技術を用いて、精密で切開・縫合が可能な超軟質心臓レプリカを開発した。2020年には多施設による医師主導治験を実施し、その有効性を証明した。今回は複雑CHDの手術支援を更に強固にすることを目的に、心臓レプリカの画像処理技術に東京大学で開発されたマルチスケールマルチフィジックス心臓シミュレーター“UT-Heart”の技術を融合させ、CHDに特化した新しい“ped UT-Heart”システムの開発研究を開始した。[方法]自施設小児CHD 7例(DORV 4、TOF 1、DORV 1、HLHS 1、中央値生後9ヶ月)の臨床データ(MSCT画像情報、心電図、心エコー、心臓カテーテルおよび心血管造影所見、肺血流シンチ)を用いて、“ped UT-Heart”システムの開発研究を後方視的に行った。心臓レプリカで作成した3D形状情報からCHD患者の有限要素心臓モデルを作成し、臨床データを付加して、患者の血行動態、壁運動、弁運動、電気生理をシミュレーションで再現した。[結果]シミュレーションによる心臓各部位の圧、酸素飽和度、Qp/Qs値は、概ね最大誤差20%の目標値に入り、様々な手術術式(BTシャント、RV-PAシャント、Norwood手術、右室流出路形成術、心内血流転換術)の血行動態を定量的に比較検討することができた。2022年にはこのシステムの有用性を評価することを目的に、多施設前向き特定臨床研究(15例)を開始している。[結論]リアルシミュレーション(心臓レプリカ)とバーチャルシミュレーション(ped UT-Heart)による形態と機能を融合したシステム開発は前例が無く、CHD手術のシミュレーションツールとして有用である。今後さらに改良を重ねることで、難治性複雑性CHDの手術を支援する理想的な医療機器となり得ることが期待される。