The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム12(II-SY12)
画像診断・シミュレーション医学によるテクノロジーとその実用:~病態生理の解明から治療戦略のアセスメントに至るまで~

Fri. Jul 22, 2022 8:30 AM - 10:00 AM 第3会場 (大ホールC)

座長:板谷 慶一(大阪市立大学 心臓血管外科)
座長:高橋 健(順天堂大学浦安病院 小児科)

[II-SY12-02] Fontan術後の門脈血行動態に関しての研究

杉谷 雄一郎1, 宗内 淳1, 江崎 大起1, 山田 洸夢1, 小林 優1, 渡邉 まみ江1, 城尾 邦彦2, 落合 由恵2 (1.JCHO九州病院 小児科, 2.JCHO九州病院 心臓血管外科)

Keywords:FALD, Gd-EOB-DTPA造影, MRI

【目的】Fontan関連肝臓病(FALD)の病態解明のため日本小児循環器学会「Fontan術後の門脈血行動態に関しての研究(課題2020B-03)」実施にあたりFontan術後患者の門脈循環と肝線維化および肝腫瘤病変との関連を明かにする単施設先行研究を行った。【方法】Fontan術後患者において磁気共鳴画像(MRI)によるphase contrast法での心係数(CI)、門脈血流(PVF)および総肝血流(HF)[(導管血流量)-(肝静脈合流前下大静脈血流量)]を測定した。またGd-EOB-DTPA造影により肝8亜区域のsignal intensity(SI)からrelative enhancement(RE)[(造影前SI-造影20分後SI)/(造影前ST)]を算出した。肝腫瘤性病変の有無も同定した。各血流指標と肝線維化・腫瘤病変の関連を検討した。【結果】Fontan術後患者19例[年齢 23(16─29)歳、Fontan術後21(13─24)年]を対象とした。酸素飽和度94(92─95)%、中心静脈圧10(8─15)mmHg、CI 2.1(2.0─2.6) L/min/m2、PVF 0.28(0.20─0.33)L/min/m2、HF 0.30(0.10─0.41) L/min/m2、PVF/CI比12(10─15%)、HF/CI比5.9(-6.1─9.9)%およびRE 0.70(0.61─0.75)だった。REはPVF(R=0.51)とPVF/CI比(R=0.56)との間に有意な正相関がみられたが、中心静脈圧(R=-0.30)、CI(R=0.25)、HF(R=-0.20)、HF/CI比(R=-0.03)と相関はなかった。また過形成結節9例、肝細胞癌1例を同定し、肝腫瘤病変の有無において中心静脈圧、CI、PVF、HF、PVF/CI比、HF/CI比およびREに有意差はなかった。【結語】肝線維化に伴いPVF低下がみられた。FALDの予後を左右する腫瘍性病変の発生と肝門脈血流との関連は得られなかったが、今後多施設共同研究での更なる検討を切望する。