[II-SY16-04] 小児循環器集中治療医のための教育の重要性
Keywords:小児循環器集中治療, 教育, 先天性心疾患
昨年の小児循環器学術集会において、「奈良提言」として小児循環器診療施設の集約化の指針が示された。この提言には集中治療医の重要性が含まれており、その具体的な方向性を整備することが重要な課題となっている。 麻酔科医にとって先天性心疾患の麻酔はかなりハードルの高い麻酔である。小児麻酔と心臓血管麻酔の知識、経験のどちらかのベースがないと、効果的に研修することは難しい。麻酔だけでなく集中治療ではより難易度は高くなる。 一方で成人先天性心疾患患者の増加に伴い、麻酔科医も先天性心疾患の知識を避けて通ることが今後は難しくなる。多くの若い麻酔科医は20世紀に入って経食道心エコー(TEE)の技術を習得している。今後は、こうした見地から先天性心疾患に興味を持つ医師も多いと思われる。 多くのPICUにおいては小児科医が大きな役割を果たしてきた。小児科医が集中治療医として大成するための弱点は、気道管理にある。少なくとも最低半年以上、年単位の麻酔科研修が望ましいと考える。専門医制度においても、こうしたプログラム研修期間を認めるべきである。 一朝一夕に小児循環器診療に関わる集中治療医を育成することは難しい。地道な教育を続行するしかないと考える。この分野は集中治療の極致とも言える高度な分野であり、麻酔科医、小児科医の今後の進出を期待してやまない。私の拙ない経験から私見を報告させていただく。