The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム17(II-SY17)
フォンタン術後患者の予後改善のための個別化治療へ向けて:時間軸を考えた検討①長期予後を見据えたフォンタン術前の単心室循環至適管理(薬物療法、生活管理、手術介入方法、時期、その他の工夫等)

Fri. Jul 22, 2022 3:40 PM - 5:10 PM 第4会場 (中ホールA)

座長:根本 慎太郎(大阪医科薬科大学医学部 外科学講座胸部外科)
座長:宗内 淳(JCHO九州病院 小児科)

[II-SY17-05] 心拍変動はフォンタン循環不全の早期指標となり得るか

佐藤 啓1, 齋木 宏文1, 高橋 卓也1, 齋藤 寛治1, 滝沢 友里恵1, 桑田 聖子1, 中野 智1, 佐藤 有美1, 後藤 拓弥2, 小泉 淳一2, 小山 耕太郎1,3 (1.岩手医科大学附属病院 小児科, 2.岩手医科大学附属病院 心臓血管外科, 3.みちのく療育園)

Keywords:フォンタン, Holter, 心拍変動

【背景】高い中心静脈圧(CVP)と低い心拍出量を特徴とするフォンタン循環は、慢性心不全に類似した循環であり、遠隔期に様々な臓器合併症を呈することが課題である。心拍数および心拍変動がフォンタン循環不全の早期指標になり得るという仮説を検証した。【対象と方法】 2012年12月から2022年2月にHolter心電図を施行したフォンタン術後患者62例を対象として、総心拍数(THB)、最低心拍数(min HR)、最高心拍数(max HR)、平均心拍数(mean HR)、上室期外収縮および心室期外収縮と循環動態指標(CVP、肺動脈楔入圧:PCW、駆出率: EF、BNP、AST、ALT、LDH、γGTP)との関連を検討した。また51例では心拍変動(HRV)についても各指標との関連について検討した。【結果】THB(125,027±22,095)、min HR(62.1±15.2)、max HR(146.8±28.6)は術後年数の経過とともに低下した(ともにp<0.001)。ANCOVAを用いて年齢を調整すると、高いmin HRはCVP(p=0.049)、PCW(p=0.032)、BNP(p=0.006)の高値と関連し、好ましくないフォンタン循環を反映する可能性を示唆した。心室性・上室性不整脈とフォンタン循環との関係性は明らかでなかった。HRVのパラメーターでは、心疾患予後と密接な関連が指摘されているSDNN低下と循環動態指標の有意な相関は認めなかったが、低いRMSSD[副交感神経活性指標]とBNP高値(p=0.029)、高いLF/HF比[交感神経活性指標]とγGTP高値(p=0.01)がそれぞれ関連し、フォンタン循環不全徴候を自律神経機能指標が反映している可能性が考えられた。【結論】 高いmin HRや自律神経機能指標の低下はフォンタン循環不全の早期指標であり、特に最低心拍数の管理はフォンタン循環改善のターゲットになる可能性がある。