The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム17(II-SY17)
フォンタン術後患者の予後改善のための個別化治療へ向けて:時間軸を考えた検討①長期予後を見据えたフォンタン術前の単心室循環至適管理(薬物療法、生活管理、手術介入方法、時期、その他の工夫等)

Fri. Jul 22, 2022 3:40 PM - 5:10 PM 第4会場 (中ホールA)

座長:根本 慎太郎(大阪医科薬科大学医学部 外科学講座胸部外科)
座長:宗内 淳(JCHO九州病院 小児科)

[II-SY17-04] MRI肝臓Native T1値はFALD進行を予測できるか?

田尾 克生, 石川 友一, 兒玉 祥彦, 倉岡 彩子, 鈴木 彩代, 原 卓也, 連 翔太, 中野 俊秀, 角 秀秋, 佐川 浩一 (福岡市立こども病院)

Keywords:肝Native T1値, FALD, 肝線維化

【背景と目的】FALDをはじめとする腹部臓器障害はFontan術後患者の重要な予後因子であるが,非侵襲的な予測法は明らかでない.近年,MRIによる肝臓T1mappingがFALDの進行度予測に有用との報告がある.我々は肝Native T1(LT1)値と血行動態指標・血液生化学検査値との相関を調査し,FALD進行度予測におけるLT1値の有用性を検討した.【方法】対象は2021年1月から12月に当院にて心臓カテーテル検査および心臓MRIを48時間以内に行った159例.心臓MRIの心筋T1mapping撮影において同一断面に含まれる肝臓のT1緩和時間(LT1値)を3断面の平均値として算出した.心カテ・心臓MRIから得た血行動態指標および血液生化学所見とLT1値の相関を検討し,3群(2心室修復群(B群),Glenn循環群(G群),Fontan循環群(F群))比較した.重回帰分析にてF群におけるLT1値の回帰式を求めた.【結果】LT1値は年齢(R=0.27/p<0.001,以下同様),体表面積(0.28/<0.001),CVP(0.61/<0.001),ALT(0.33/<0.001),γGTP(0.4/<0.001),T-bil(0.20/0.012),肝線維化の予測指標であるFIB-4 Index(年齢×AST/(血小板×√ALT))(0.38/<0.001),QsI(0.18/0.027)と有意に相関した.重回帰分析ではLT1値=524+11.7×CVP+1.33×ALT(各p<0.001,p=0.011)であり,F群で有意に高値であった.F群(N=76)のみの重回帰分析ではLT1値=643+84.1×Fib-4 Index(p=0.018)と表された.F群でCVPとLT1値の関係はCVPに比してLT1値が高値であり,CVPとLT1値の回帰式(545+12.8×CVP)で標準化したLT1値に対する実測LT1値の比=0.95+0.047×IVC血流量(L/min・m2)(p=0.029)と表された.【考察】LT1値はCVP・肝機能と相関しうっ血と線維化の両者を反映し,FALD予測に有用な可能性がある.また,F群でCVPで標準化したLT1値がIVC血流量のみと相関した事実は類洞や門脈域の線維化に伴う肝内シャントの増生をみているかもしれない.