[III-OR26-02] 小児特発生/遺伝性肺動脈性肺高血圧症患者レジストリ
Keywords:JAPHR, IPAH/HPAH, レジストリ
【背景】肺動脈性肺高血圧症は極めて予後不良の難治性疾患であるが、特異的治療薬の進歩により成人・小児ともにその予後は改善している。しかしながら、全国規模での小児IPAH/HPAH患者のリアルワールドデータの集積には至っていない。【目的・方法】小児IPAH/HPAH患者の国内データの収集と共有を行う体制を整備し、(1)生存率、(2)現状の薬物治療、(3)予後予測因子、(4)成人患者との臨床像・治療効果の相違の検討などを行う。2020年4月より、Japan PH Registry (JAPHR)に18歳未満の小児例が登録可能となった。本研究はJAPHRを用いた多施設・前向き症例登録研究で、治療内容に介入を行わない観察研究である。【結果】小児肺高血圧症の先進治療施設11施設に登録を依頼、開始している。2022年2月時点で57例の登録がなされている。日本小児循環器学会による小児期発症心疾患実態調査では、毎年30例前後の新規患者報告がなされている一方で、報告施設数は過去3年で約50施設であった。【結論】本邦で初めて小児IPAH/HPAH症例のレジストリ研究を開始した。小児IPAH/HPAHの新規発症者そのものが少ないため、可能なかぎり多くの症例の登録が望ましい。このことから今後さらなる診療施設の登録参加をお願いしたい。また、より多くの患者がよりよいアウトカムを得るためには、診療施設の集約化も重要であると考える。本研究により、我が国の小児IPAH/HPAH患者の現状(予後や治療方針など)が明らかとなり、海外へその結果を発信できることを期待する。