[III-OR37-01] 肺動脈形成における再狭窄危険因子の検討
Keywords:肺動脈形成, 自己心膜, 外科治療
【目的】肺動脈形成術式はパッチ形成や端々・端側吻合など多岐にわたり、形成術後には再狭窄を繰り返し再介入(再形成術)を必要とする例も散見される。肺動脈形成術後の再狭窄危険因子について後方視的に検討した。【対象・方法】1997年から2021年までの肺動脈形成術例のうち詳細の検討が可能であった387例を対象とした。MAPCAに対するunifocalizationは計画的段階的手術となるため除外した。初回形成後に再介入が不要であったN群、再介入が必要であったR群に分けて比較検討した。【結果】N群325例(84%)、R群62例(16%)。手術時年齢中央値はN群12.5ヵ月(1日-25年)、R群3.5ヵ月(8日-13.5年)で、BSA中央値はN群0.39m2、R群0.26m2でいずれもR群において有意に低値であった。R群で再々介入を要した症例は17例(27%)。補填材料は自己心膜、ePTFE、自己再生組織を使用した。補填材料を使用しない形成はN群33例(N群中10%)、R群2例(R群中3%)。形成材料として再開胸による癒着自己心膜パッチを使用したのは全387例中148例(N群:110/325例,R群37/62例)であり、癒着自己心膜パッチはR群で有意に高かった。狭窄部位の検討では、初回手術時に54例で中心肺動脈(cPA)形成を施行、うち44例(81.5%)で再介入不要(N群)、10例(18.5%)で再狭窄(R群)。同じく121例で主肺動脈(mPA)形成を施行、うち81例(67.0%)で再介入不要(N群)、40例(33.0%)で再狭窄(R群)。同じく212例でcPAを含む末梢肺動脈までの形成を施行、うち200例(94.3%)で再介入不要(N群)、12例(5.7%)で再狭窄(R群)。末梢までの形成が必ずしも再介入の必要性が高いとは言えなかった。【考察】低体重・低年齢での肺動脈形成は再狭窄の危険因子となりうる。再手術癒着自己心膜の使用は危険因子となるため、他の素材を考慮すべきである。cPA,mPAでの再狭窄にはBT shuntやbilateral PABなどの先行手術や動脈管組織が関与している可能性も考慮しなければならない。