[III-OR37-02] 最近のBlalock-Taussigシャント手術の治療成績の検討 肺血流調整とアプローチの妥当性
Keywords:BTシャント手術, 血流調整, アプローチ
【目的】BTシャント手術は代表的な姑息手術であるが、近年の報告でも依然として死亡率が高い。当院ではTEEによる肺血流評価や止血用クリップによる肺血流調整を行っており、治療成績と治療戦略の妥当性について検討する。【方法】2010年以降に主術式としてBTシャント手術を施行した116例(大動脈遮断を要する心内操作を行なった症例は除外)を対象とし、後方視的に観察。単心室疾患38例(PA/IVS 11, Asplenia 9, DIRV/DILV 5, TA 3, HLHS/variant 2)、二心室疾患78例(TOF/PS 40, TOF/PA 14, DORV/PS 13, DORV/PA 8, TGA 2, TAC 1)。手術時年齢2日-16歳(中央値1か月)。アプローチは側開胸51例、正中切開65例。人工心肺使用は49例。全例がePTFE人工血管を用い、基本術式として腕頭動脈・鎖骨下動脈から同側肺動脈へシャントを作成、状況に応じて上行大動脈・総頚動脈から主肺動脈幹に吻合。【結果】同時手術は肺動脈形成22例、IPAS1例。術後入院中に5例(4.3%)に蘇生処置を要し全例が正中切開例。在院死亡2例(1.7%)で共に単心室群(PA/IVS)であり、6病日と30病日に突然死、類洞交通による心筋虚血疑い。退院後のinterstage mortality2例(シャント閉塞1例、肺炎1例)。2013年以降に21例に止血用クリップによる人工血管の肺血流調整を行い、9例に術後にカテーテルによるクリップ除去を行って肺血流再調整を施行、1例をシャント閉塞のため退院後に失った。二心室疾患群の72例(95%)が二心室修復に到達、単心室疾患群の31例(82%)がグレン手術に到達しさらに26例がフォンタン手術に到達。【結語】TEEよる血流量評価と肺血流量調整を行ったBTシャント手術の成績は本手術の報告と比較しても概ね満足のいくものであった。正中切開例とPA/IVSは術後急変の危険因子であり注意を要する。血流調整のクリップは有用であるが血栓閉塞のリスクもあり、次期手術までは慎重な経過観察を要し抗凝固剤の追加も必要であるかもしれない。