[III-OR37-03] 動脈管依存性肺動脈閉鎖に対する体肺動脈短絡手術の検討
Keywords:肺動脈閉鎖, 動脈管, シャント
(背景)動脈管依存性肺動脈閉鎖において動脈管ステントもしくは体肺動脈短絡手術(シャント術)が選択肢となる。シャント術では適当なシャントサイズの選択や術後心不全治療などを要する。また動脈管組織による肺動脈狭窄により肺動脈形成が必要となる症例もある。我々は本症例群に対し、胸骨正中切開でのシャント術、必要があれば積極的に肺動脈形成を行う方針としている。(対象と方法)2011年4月から2022年3月までに初回にシャント術を行った動脈管依存性肺動脈閉鎖40症例。同時心内修復術を伴う症例は除外。手術及び術前術後データ、遠隔成績などを後方視的に検討。(結果)平均経過観察期間71.1±32.2ヶ月、平均手術時体重3.5±0.8 kg、平均シャント術時年齢59.4±39.0 日。単心室修復群(SV群)17例、二心室修復群(BV群)22例、1.5心室1例。全例肺血流は動脈管依存、25例(62.5%)で術前肺動脈狭窄を認めた。手術死亡1例、遠隔死亡2例。SV群17例中14例(82.4%)がフォンタン到達。平均到達年齢は21.3±9.6ヶ月。BV群22例中19例(86.4%)が心内修復術到達。平均到達年齢は13.0±11.7ヶ月。33例に人工心肺を使用。セントラルシャント(CS)4例、ブレロックトージッヒシャント(BT)36例、平均グラフト径3.6±0.3 mm。シャント時肺動脈形成は23例(57.5%)、36例で術中動脈管閉鎖もしくは離断。1例で閉塞に対する再シャント施行。1例で術後高肺血流ショックによりBTからRV-PAへの変更を要した。他38例でシャント閉塞はないが、4例でCSの追加を要した。SV群2例でシャント術後房室弁逆流進行により弁形成術施行。フォンタンまでの平均手術回数は3.2±0.6回。心内修復術までの平均手術回数は2.2±0.5回。(結論)本症例群に対する我々の治療戦略にて満足する結果が得られた。シャント術時の積極的な肺動脈形成が追加手術を減らし、高いフォンタンもしくは心内修復術到達率につながる可能性が示唆された。