[III-OR38-05] 学童児が心臓移植医療を主体的に臨むための看護師の役割
Keywords:学童期, 体外式補助人工心臓, 小児心移植
【はじめに】当センターが2021年12月までに経験した小児用補助人工心臓(以下EXCOR)7例中6例は2歳以下の症例であり、今回初めて学童児への装着を経験した。病状変化やEXCOR装着を理解していく場面を振り返り看護師が果たした役割を考察する。【症例紹介】9歳女児。心不全発症後、約1年間に5回の心不全入院を経てEXCOR装着目的で当センターへ転院し、転院3ヵ月後にEXCORを装着した。【看護の実際】転院からEXCOR装着までの間、心不全悪化により病棟と集中治療室(以下ICU)間の転棟を2回経験した。前院でEXCOR装着、心臓移植について説明を受けていたが、初回ICU転棟後に、多職種参加のもとEXCOR装着、心臓移植について再度説明を行った。説明後、児や家族から認識不足による不安の表出がみられ、十分な理解に至っていない可能性が考えられた。ICUに病棟看護師が児や家族の元を訪ね、ICU看護師、CLS等と協働して傾聴を重ね、実際の貫通部の写真や消毒方法の動画を見せて説明し治療に臨むための心の準備ができるよう支援した。EXCOR装着後は脱血不良、胸水貯留などの問題もあり、重なる採血や検査、食事療法に拒否的な態度を示すなどした。いずれの段階においても看護師が患児・家族の様子や思い、多職種からの関わり、説明内容の共通化を図りながら児が納得し主体的に治療を継続できる方法を探す事を心がけた。【考察】学童期の児への関わりとして、看護師が児や家族の良き理解者となり、児自身が主体性を持って治療へ臨めるよう家族や多職種と協働し模索・提案していく役割がある。学童は主体的に考える力があるからこそ、特に精神面でのサポートが重要である。また多職種の介入が必須な移植医療では、多職種それぞれの評価や方針に微妙な差が生じる場合がある。プライマリー看護師が中心となり児や家族の意思を汲みあげ皆で同じ方向を向けるような調整役を担う役割がある。