[III-P6-1-09] 集学的治療により救命しえた先天性横隔膜ヘルニア合併完全大血管転位の1例
Keywords:先天性横隔膜ヘルニア, 大血管転位, Senning
【背景】先天性横隔膜ヘルニア(CDH)における先天性心疾患の合併率は12-25%と報告されているが、完全大血管転位(TGA)の合併は稀でその生命予後は非常に悪い。【症例】在胎34週に前医よりCDH(左側、Liver-up +)の診断で当センターに紹介。胎児心エコーで心血管構造異常は指摘されなかった。在胎38週2日、出生体重1850g、DD双胎第2子。CDH管理として計画通り出生直後から気管挿管下で人工呼吸器管理とし、PGE1を開始。酸素化不良を認め、FiO2 1.0、NO20ppmに呼吸管理強化も改善せず。心エコー施行したところTGA1型・restricted FOが判明、同日BAS施行し酸素化は改善した。日齢2でCDH修復術を施行。術後、肺の状態が改善し、PGE1中止もPDAは大きく残存し高肺血流による心不全が増悪。冠動脈走行はShaher 4で体格も小さかったため、動脈スイッチ術(ASO)は高リスクと判断し日齢25にPDA bandingを施行。抜管困難で日齢49に気管切開術。生後2か月頃から、PDA狭小化による酸素化不良認め、SpO2は50%台と許容し難い状態が続いたため、外科的介入の方針。介入の選択肢として、ASOを目指してBT shunt+PA bandingも考慮されたが、容量負荷と圧負荷に耐えることは困難と判断、生命予後を優先しSenning手術の方針とした。日齢95に血圧低下イベントがありECMO導入し、日齢98にSenning+三尖弁形成術を施行。日齢105にECMO離脱した。以降、循環動態は落ち着いて経過し、日齢157にカテコラミン持続点滴を終了した。現在、在宅呼吸器調整、経腸栄養の増量を行い、退院に向かい調整中である。【まとめ】今回治療戦略は困難を極めたが、心内修復術まで到達し救命しえた症例を経験した。同様の報告は少なく、文献的考察を交えて報告する。