[III-P6-1-10] 当院における純型肺動脈閉鎖症、重症肺動脈弁狭窄症に対する順行性血流作成における目的と効果について検討
Keywords:RVDCC, RV rehabilitation, 三尖弁輪径
【背景】当院では、右室の順行性血流作成を行い、右室を減圧しrehabilitationを進める事が、右室成長を進め2心室修復(BVR)への鍵となる事、BVRが困難で単心室修復(UVR)となっても盲端右室腔としない事が血栓形成回避や盲端右室腔による将来的な左室流出路障害回避につながるという治療理念のもと、RVDCCでなければ、右室より順行性血流を作成する方針としている。【目的】出生時の三尖弁輪径(TVD)、右室拡張末期容積(RVEDV)と最新のTVD、RVEDVを検討する事で、TVDとRVEDVの経時的変化からRV rehabilitationの効果について検討してみた。【方法】2013年1月から2021年12月までに当院で出生、もしくは新生児搬送された全28症例(男15例、女13例) (PA,IVS 21例、cPS 7例)を順行性血流作成群(F群 22例)と非順行性血流作成群(NF群 6例)に分けて、後方視的に解析した。【結果】F群において出生時のTVDと最新のTVDにおいて有意差を認めなかった(p 0.407)が、出生時のRVEDVと最新のRVEDVにおいては有意差を認めた。(p 0.0026) NF群においては出生時と最新のTVDおよびRVEDVにおいては有意差を認めなかった。順行性血流を作成してRV rehabilitationを行う事でRVEDVは有意に拡大傾向を認めるが、TVDに関しては成長しない事が分かった。【考察】類洞交通(SC)が発達している症例でも、適切な評価をする事でRVDCCではないと判断し順行性血流を作成する事が可能な症例を認めた。【結語】三尖弁輪径が50 % of N、Z score -3.1 以上であれば、RV rehabilitationが進んでRVEDVが拡大してBVRに進む事がわかったが、TVDの成長は認めなかった。RVDCCではない、UVR症例に対しても順行性血流作成をする事で遠隔期の血栓予防や左室流出路障害の緩和に繋がる事が期待される。