[III-P6-2-02] Life-threateningな喀血を来したフォンタン術後の3症例
Keywords:喀血, フォンタン手術後, コイル塞栓
【緒言】フォンタン手術の成績は向上したものの、遠隔期における合併症が問題となっており、喀血は、頻度は高くないものの時に重症で致死的な経過となり得る。当院で経験したLife-threateningな喀血を来したフォンタン術後の3症例を提示する。【症例1】無脾症候群、単心室、先天性気管狭窄に対して2歳時に開窓付きフォンタン手術、気管形成術。10歳時に自宅で喀血し救急入院。挿管後にコイル塞栓術を施行し、抜管したが、気道出血が再発し、低酸素血症から回復できずECMO導入。計5セッションで計120本のコイル塞栓術を行ったものの出血を制御できず、入院35日目に永眠した。【症例2】左心低形成症候群。先天性骨髄不全を合併し、血小板低下があった。6歳時に開窓付きフォンタン手術。5歳時に喀血で入院し、血小板輸血と対症療法で改善した。6歳時に喀血し救急搬送中にCPAとなり、当院搬送後ROSCしたものの、短時間の回復のみであった。CPAの時間が長く神経所見も不良であり、ECMOは導入せず、翌日に永眠した。【症例3】多脾症候群、単心室に対して9歳時にフォンタン手術。18歳から喀血による入院を数年おきに繰り返し、一度コイル塞栓を受けた。31歳時に近医で喀血し挿管され転院搬送となった。入院後3回のコイル塞栓を行い、確実な気道確保のため、気管切開を行った。膿胸や脳梗塞などの合併症も来して長期入院となり、8か月後に退院した。【考察】当院ではこの15年でフォンタン術後の喀血に対するコイル塞栓を4症例に対して行っており、そのうち1例(症例1)が死亡した。また、症例2のようにコイル塞栓を行う間もなく死亡することもある。臨床症状やカテーテル所見から喀血を予測することは困難であるが、Heterotaxyや血液凝固異常を合併する症例については特に喀血のリスクが高く、予防的な、再疎通の起きにくい徹底的なコイル塞栓が必要と考えられる。