[III-P6-2-05] Fontan関連肝疾患に合併する食道胃静脈瘤の予測におけるLiver stiffness-spleen size-to-platelet ratio risk scoreの有用性
キーワード:Fontan関連肝疾患, 門脈圧亢進症, 食道胃静脈瘤
【背景】Fontan関連肝疾患(FALD)はFontan手術の遠隔期に生じてくる慢性肝疾患で、軽症を含めるとほぼ必発とされる。血液検査や肝エラストグラフィ(LE)だけで肝線維化の進行を精度高く推測することは難しく、臨床的に有用な非侵襲的指標が求められている。Liver stiffness-spleen size-to-platelet ratio risk score(LSPS)は慢性肝疾患に合併する門脈圧亢進症や食道胃静脈瘤を予測するうえで有用な統合指標とされている(Gastroenterology 2013)。FALDにおいて脾腫や血小板減少を呈する例では、肝線維化の進行や食道胃静脈瘤を合併していることが報告されている。そこで、当院Fontan術後患者のLSPSについて検討した。【対象・方法】2020年1月1日から2021年8月31日までに当科を受診したFontan術後患者のうち、脾臓サイズを評価できない無脾症と多脾症は除き、LSPSの算出に必要な腹部超音波検査(LE含む)、血液検査を実施されている17例について検討した。【結果】年齢中央値は12.4歳、術後年数中央値は8.9年、男性13例(76%)であった。LE中央値は12.1kPa、脾臓サイズは中央値9.6cm、血小板数中央値は21.8万/μLだった。LSPS中央値は0.58だった。LSPSカットオフ値1.08を超える2/2例(100%)は造影CTで食道胃静脈瘤を認めた。【考察】LSPSは食道胃静脈瘤や肝線維化進行を予測するだけでなく、経年的な変化をみていくことで、病状の進行速度を推測するツールにもなる可能性がある。LEだけでなく脾臓や血小板数など複数のデータを統合して判断していくことが重要である。【結語】Fontan術後患者におけるLSPS高値は肝線維化進行や食道胃静脈瘤の合併を示唆するため、肝臓専門医の診療や上部消化管内視鏡検査などの精査追加を考慮する。