The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

カテーテル治療

ポスター発表(III-P6-3)
カテーテル治療 II

Sat. Jul 23, 2022 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場

座長:萱谷 太(大阪母子医療センター 小児循環器科)
座長:佐川 浩一(福岡市立こども病院 循環器科)

[III-P6-3-01] 低年齢の児に対する橈骨動脈穿刺による選択的冠動脈造影

前田 靖人1,2, 鍵山 慶之2, 高瀬 隆太2, 寺町 陽三2, 籠手田 雄介2, 家村 素史1,2, 須田 憲治2 (1.雪の聖母会 聖マリア病院 小児循環器科, 2.久留米大学医学部 小児科学教室)

Keywords:橈骨動脈穿刺, 穿刺合併症, 選択的冠動脈造影

【背景】橈骨動脈穿刺(TRA)によるカテーテル手技は、血管合併症の少なさ、患者の安静保持緩和などの利点から成人領域を中心に急速に普及してきたが、小児では一般的でない。当科では穿刺合併症軽減目的に、低年齢の児に対しても積極的にTRAを行っており、その安全性と有効性を検討した。【方法】当科で施行した59例 90回の冠動脈造影のうち、施行時年齢12歳以下を低年齢とした。低年齢TRAは10例 14回有り、初回TRA10回を対象とし、年齢をマッチさせた大腿動脈穿刺(TFA)19回と比較検討した。TRAに際しては、十分な鎮痛・鎮静処置を行うことで児の疼痛やストレスの緩和、血管スパズムの予防に努め、全例エコーガイド下で穿刺を行い3-4Frシースを挿入した。【結果】低年齢TRA 10回の内訳は、川崎病が8例、冠動静脈瘻および胸痛が各1例であった。TFAの1例は当初TRAの予定であったが、RAが極端に細くTFAに移行した。2群間の比較で、年齢[TRA 中央値10(5-12)歳 vs. TFA 7(5-12)歳]、体重[TRA 30(17-49)kg vs. TFA 23(16-53)kg]、透視時間[TRA 24.1(14.4-59.5)分 vs. TFA 19.3(8.9-52.5)分]に有意差は無かったが、動脈・静脈穿刺終了までの時間は[TRA 19(5-39)分 vs. TFA 10(1-30)分]でありTRAの方が有意に長かった(p=0.046)。両法いずれも良好な造影像が得られた。一方、TRAは全例TRバンドで止血を行い、動脈シース抜去に伴うカテ後のベッド上安静は不要であったが、TFAでは6時間のベッド上安静を要した。また、TRAに穿刺合併症は認めなかったが、TFAでは1例に皮下血腫(安静解除後の再出血)を認めた。【結語】検査前のRA評価により症例を選ぶことで、低年齢の児に対してもTRAは安全に施行できる。小児のTRAは穿刺に慣れを要するが、カテ後の安静保持緩和や血管合併症の少なさという点においてTFAより有益な可能性がある。