[III-P6-3-03] 遠隔期に経皮的心房中隔欠損閉鎖術を実施した純型肺動脈閉鎖・重症肺動脈弁狭窄二室修復到達7例の検討
Keywords:純型肺動脈閉鎖, 重症肺動脈弁狭窄, 経皮的心房中隔欠損閉鎖
【目的】経皮的肺動脈弁形成術(BVP)により二室修復へ到達した純型肺動脈閉鎖(PAIVS)・重症肺動脈弁狭窄(CPS)の中には遠隔期まで心房中隔欠損(ASD)が残存する症例がある。遠隔期でカテーテル治療を必要とした症例の臨床的特徴を明らかにする。【方法】新生児期BVPにより二室修復到達PAIVS・CPS56例中、遠隔期に経皮的心房中隔欠損閉鎖(TCASD)を行った8例(PAIVS:2例、CPS:6例)のASD形態・右室形態・血行動態に関して検討した。【結果】TCASD時年齢10(6.9―14.2)、体重33(22.3―48.8)kg、最大ASD径13.8(4.6―22.9)mm、ASDバルーン計測径13.7(6.1-18.6)mm、大動脈辺縁2(0-11.6)mm、前上方辺縁3.5(0-13.3)mm、最大心房中隔長は36.6(29.1-46.4)mmであり、bald aorta 1例、malalignment 5例、多孔性 4例であった。新生児期およびTCASD時の肺動脈弁輪径Z値は-4.2(-7.49--2.63 )および-0.9(-3.54-1.52)(P=0.002)、三尖弁輪径Z値は-0.38(-2.42-0.78)および0.46(-1.07-3.01)(P=0.19)、右室/左室圧比は1.59(1.34-1.78)および0.32(0.24-0.40)(P=<0.001)だった。右房および右室面積は治療前後で11.9(12.1-14.8)→10.4(7.7-15.0)(P=0.04)および15.6(12.9-25.5)→13.8(11.5-21.4)(P=0.006)と有意に低下した。チアノーゼを認めた1例で運動耐容能検査を実施し最大O2摂取量は34.2→42.8ml/kg/分と改善を認めた。TCASD後観察期間5.1年間で遠隔期右室圧再上昇を1例認め、他の7例と比較し、出生時の三尖弁輪径(-3.8 vs 0.09) (P=0.024)、TCASD前の平均右房圧(15.0 vs 6.4) (P=0.049)、平均肺動脈圧(23 vs 12.2) (P=0.048)で有意差を認めた。【考察】潜在する右室異形成があってもASD閉鎖の治療効果があり、左→右短絡例では有意な右室容量負荷の軽減がみられた。ただし出生時の三尖弁輪径が小さい例や、TCASD時の右心系の圧が高い例ではTCASD後に右室圧の増加を認めた。