[III-P6-3-08] 後天的左上大静脈狭窄に対する経皮的バルーン形成術の一例
Keywords:後天的冠静脈洞閉鎖, 先端高加重性ワイヤー, 経皮的バルーン拡張術
5歳女児。胎児診断を認めず、出生後に部分型心房中隔欠損症、左上大静脈遺残(LSVC :unroofed coronary sinus)と診断した。生後7か月時に心房中隔欠損自己心膜パッチ閉鎖、房室弁形成に加え、LSVCから右房(RA)まで心房内リルーティングを行った。術後1か月後の心臓カテーテル検査でLSVC造影は可能であり、RAまでの造影剤の流出は良好であった。以降は外来経過観察していたが、術後5年で顔面浮腫が出現した。精査のための造影CTではLSVCの開口部の狭窄所見を認めた。精査のための左上肢からの静脈造影では、LSVC内での造影剤の鬱滞所見を認め、RAは描出されなかった。後天的冠静脈洞閉鎖と診断し、経皮的バルーン形成術の方針とした。まず左頚静脈や左正肘静脈からLSVCまでの順行性アプローチを試みたが、手技中血管攣縮を起こし困難であった。このため逆行性に静脈造影と椎体をメルクマールに冠静脈洞口にマルチパーパスカテーテルを親カテとして0.035インチラジフォーカスガイドワイヤーでの穿通を試みたが困難であり、0.012インチ先端高加重ガイドワイヤー(ConquestPro,Asahi INTECC)により穿通可能,SHIDEN2mm(KANEKA MEDICAL PRODUCTS),Sterling8mm(Boston Scientific),Mustang12mm(Boston Scientific)の順に段階的に拡張し、LSVCの再疎通を行うことができた。治療半年後の左手末梢静脈からのコントラストエコーでも良好に開存を維持していることを確認した。