[III-P6-3-09] 肺動脈弁置換術後の生体弁に対するPTPVの効果の検討
Keywords:肺動脈弁, 生体弁, PTPV
【緒言】ファロー四徴症を代表とする右室流出路狭窄疾患に対する根治術後の肺動脈弁置換術(pulmonary valve replacement: PVR)は多くの症例で行われているが、置換術後の狭窄・逆流が問題となり、早期の再介入を要する症例が多い。置換弁狭窄に対しては経皮的肺動脈弁バルーン拡張術(PTPV)が考慮されるが、その介入のタイミングや有効性について統一した見解がない。【方法】今回、我々は2012年-2021年の10年間に当院で施行された、初回PVR後のPTPV症例・初回PVR後弁狭窄が問題になり再手術となった症例の後方視的検討を行なった。PTPVの効果として、右室-肺動脈圧較差が20%以上もしくは右室/大動脈比が20%以上低下を認めた例を効果ありと定義し、PTPV効果の有無について検討を行なった。【結果】初回PVR後、心臓カテーテル評価を行なった8例のうち、PTPV効果を認めた症例が5例(PTPV+群)、PTPV効果を認めなかったもしくは不能と判断した症例が3例(PTPV-群)であった。初回PVR時の年齢はPTPV+群で9.7±3.17歳, PTPV-群で8.83±1.30歳。PVR後初回の心臓カテーテル評価における右室-肺動脈圧較差がPTPV+群で38.6±12.4, PTPV-群で71.7±26.3と有意差を認めた(P=0.048)。PTPV+群での再PVR時の年齢は17.2歳/19.2歳/残り3例は現在待機中、PTPV-群での再PVR時の年齢は16.3±1.47であった。【結語】PVRは非常に安定した手術成績となっているが、中長期的な再介入が避けられない問題であり、特に、18歳未満でのPVR例では再介入リスクが高いと言われている。体格の成長を見ながら適切なタイミングでPTPVを行うことにより再PVRの介入を遅らせることのできる可能性が示唆された。