[III-P6-4-10] 冠静脈洞内でのアブレーションで副伝導路の離断に成功した潜在性WPW症候群の2例
Keywords:潜在性WPW症候群, アブレーション, 冠静脈洞
【はじめに】潜在性WPW症候群では電気生理検査を行って初めて副伝導路の存在部位が判明する。副伝導路の大半は左側に存在し通常経大動脈や経心房中隔アプローチでカテーテルアブレーション(ABL)がなされるが、今回、中心臓静脈(MCV)内や冠静脈(CS)の分枝からのABLを要した治療困難例を2例提示する。【症例1】9歳女児。1歳時よりベラパミル・フレカイニドの内服で経過観察されていたが頻拍発作を繰り返すため、ABL治療の方針となった。心室刺激で室房伝導を認め、再現性をもって順方向性房室回帰性頻拍(AVRT)が誘発された。心房最早期興奮部位は冠静脈洞電極遠位で左前側壁副伝導路と部位診断した。経大動脈アプローチ、経心房中隔アプローチで左側前側壁をABLしたが副伝導路の離断に至らず、さらに心外膜側を副伝導路が走行している可能性を考えABLカテーテルをCS内に挿入し冠静脈洞電極遠位よりもさらに奥の分枝に進めたところ、心室ペーシング時、早期性に優れKent電位も認めたため同部位を15-20Wでの低出力でABLしたところ副伝導路は速やかに離断された。以後再発無く経過している。【症例2】12歳女児。2年前から運動時の動悸発作が出現。発作は自然に消失したが頻度が多いことからABL治療の方針となった。心室刺激で室房伝導を認め、心房最早期興奮部位は左側後壁~後側壁でこの部位に存在する副伝導を有する潜在性WPW症候群と診断。AVRTも再現性を持って誘発された。経大動脈アプローチ、経心房中隔アプローチでABL施行したが副伝導路は離断に至らず。CS内をマッピングするとMCV基部近傍で心房最早期部位を認め同部位で低出力から徐々に出力を上げてABLを行い副伝導路の離断に成功、以後再発無く経過している。【まとめ】副伝導路がCSおよびその分枝の心外膜側を走行している場合があり、心内膜側からの弁輪部焼灼で焼灼困難なことがあるため、治療困難例ではCS内からのマッピング・ABLも考慮すべきである。