[III-P6-4-09] 小児における電極一体型ホルター心電計(Heartnote)の有用性と安全性
Keywords:ホルター心電図, 長時間記録, 不整脈
【背景・目的】不整脈の精査のために24時間ホルター心電図を施行する機会は増えているが、24時間の心電図モニタリングでは正確な心リズム状態を判定できないことも多い。成人においては7日間連続モニタリングを行うことで不整脈に対する診断率が96.6%まで上昇することが報告され、持続的な心拍モニタリングが科学的根拠に基づく診断や治療をするために推奨されるようになってきている。本研究の目的は世界最軽量クラスの7日間連続記録可能なホルター心電計Heartnote(HN)(JSR社、単極誘導) の小児における安全性、有用性、合併症などを24時間ホルター心電図と比較して後方視的に検討することである。【方法】対象は動悸、失神、QT延長症候群などの不整脈、心筋症などの理由で当院管理中の2-18歳(中央値12.5歳)の延べ10名、体重は10-64Kg(中央値46Kg)。24時間ホルター心電図施行後にHNを使用し最長7日間連続心電図を記録する。貼付時間、記録時間、解析可能割合、検出した不整脈、有害事象、その他の特記事項を比較検討した。ホルター心電図は日本光電製を使用した。【結果】HNの記録時間は23時間13分-179時間59分(中央値95時間30分)、ノイズは1-20%(中央値2.5%)で80-99%のデータが解析可能であった。不整脈としては期外収縮を検出した。重篤な合併症はなく、記録中断理由は貼付部位の皮膚掻痒感や粘着テープによる皮膚炎であった。今回の解析対象となってはいないが、機器トラブルで記録の無い例が1例あった。ホルター心電図では全例ほぼ24時間の計測が可能で、合併症を認めなかった。【結語】小型電極一体型ホルター心電図HNを小児10名に使用した。中央値95時間と約4倍の連続記録が可能で測定記録の80-99%の記録が解析に耐えうるデータであった。重篤な有害事象を認めず安全に使用できたが、ほぼ全例で皮膚の発赤、掻痒感が認められ、途中で記録中断しており、診断率向上のためには今後の改善が望まれた。