第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

電気生理学・不整脈

ポスター発表(III-P6-4)
電気生理学・不整脈 II

2022年7月23日(土) 12:50 〜 13:50 ポスター会場

座長:加藤 愛章(国立循環器病研究センター 小児循環器科)
座長:立野 滋(千葉市立海浜病院 小児科・成人先天性心疾患診療部)

[III-P6-4-12] 高度房室ブロックと心筋変性を認めたGalloway-Mowat症候群の兄弟例

中村 虹輝, 中村 蓉子, 高井 詩織, 渡邉 友博, 渡部 誠一 (総合病院土浦協同病院 小児科)

キーワード:Galloway-Mowat症候群, 高度房室ブロック, 心筋変性

【背景】
Galloway-Mowat症候群(GMS)は難治性ネフローゼ、小頭症、顔面・四肢奇形を特徴とし、難治性ネフローゼから末期腎不全へと進行し幼少期に死亡することが多い予後不良の疾患である。本来GMSに心疾患の合併は見られないが、今回我々は高度房室ブロックと心筋変性を認めた兄弟例を経験したので、文献的考察を交えて報告する。
【症例1 (兄)】
乳児期発症のてんかん、発達遅滞、たんぱく尿を認め、1歳でGMSと診断された。2歳で完全右脚ブロック、3歳で左脚前枝ブロックと肥大型心筋症を認めたが、心機能は良好なため無投薬で経過観察していた。4歳の定期外来で心筋障害の進行を認めcarvedilolを開始した。流出路狭窄等の所見や不整脈は認めず、心機能は良好に経過した。10歳で強直間代性の痙攣群発があり、完全房室ブロックと徐脈頻脈症候群の所見を認めた。原病の増悪による末期腎不全と、腹膜透析による腹膜炎の所見もありペースメーカー留置はせず、緩和治療を行い10歳で死亡した。
【症例2 (弟)】
出生時に小頭症、蛋白尿を認め、家族歴からGMSと診断した。出生直後から心拍数が150 bpm程度の心室頻拍と心臓超音波検査で心筋変性を認めたが、循環不全はなく無投薬で経過観察していた。生後3週間から心室拍数が200 bpm程度になり、心不全への進行が危惧されたためpropranololの内服を開始した。生後5ヶ月に高度房室ブロックを認め、propranololを中止しdenopamineを開始した。その後、心機能は良好に経過したが、生後7ヶ月に原病の増悪で末期腎不全となった。腹膜透析はせずに緩和治療を行い、生後10か月に死亡した。
【考察】
GMSは稀な疾患で臨床症状が多彩であるが、不整脈を合併した報告は未だ見られない。今後のさらなる症例の蓄積と病態の解明が期待される。