[III-P6-5-01] 小児心臓血管術後における集中治療医の専従化の再挿管への影響の検討
Keywords:小児循環集中治療, 再挿管, 先天性心疾患術後管理
<背景>我が国の小児心臓外科手術施設の集約化を行う上で、小児循環器集中治療の充実は大きな課題である。人材の育成、確保は十分でなく、後術後管理を心臓血管外科医が担っている施設は少なくない。<目的>術後管理チームに専従の集中治療医が加わることによる再挿管率の変化を調べる<方法>専従化前の期間1(2020年1/1-12/31)と専従化後の期間2(2021年1/1-12/31)における福岡市立こども病院PICUに心臓外科手術後に入室した症例を対象とした。人工呼吸器管理のまま転棟した症例、気管切開症例、死亡例は除外した。対象期間における再挿管率とその原因、患者背景を診療録から後方視的に検討した。<結果>対象患者は772例、年齢の中央値は0.8歳 (0-19.6歳)、体重7.1kg (1.1-71kg)、期間1は402例(除外34例)、期間2は360例(除外32例)であり、2群間の患者背景に有意な差はなかった。再挿管率はそれぞれ期間1 21件/365件(5.7%)、期間2 11件/328件(3.3%)であったが、統計学的な有意な差は認めなかった。また抜管後96時間以内に再挿管を行った症例は期間1は28件、期間2は12件(p=0.03)と統計学的に有意に減少を認めた。期間1の72時間以内の再挿管理由は呼吸障害23件(無呼吸2件、無気肺8件、声帯麻痺2件、横隔神経麻痺2件、肺炎3件、肺出血1件、乳び胸4件)、心不全2件、再手術3件であった。期間2では呼吸障害9件(上気道閉塞1件、無呼吸1件、無気肺2件、声帯麻痺2件、気管狭窄2件、肺炎1件)心不全2例、再手術1件であった。<考察>期間1の従来の管理は既報比較して再挿管率は高くなく、適切な管理は行えていた。専従化後には無気肺を中心とした呼吸障害による再挿管は減っており、呼吸、全身管理も考慮した循環管理を行うことが可能となった可能性がある<結語>既存のチームに1人であっても集中治療医が術後管理に関与することから開始することは、術後管理の質改善の面からも意義がある。