[III-P6-5-02] 壊死性腸炎を発症した先天性心疾患の臨床像
Keywords:先天性心疾患, 壊死性腸炎, 肺血流増加
【背景と目的】先天性心疾患(CHD)児における壊死性腸炎(NEC)は、循環障害により生じる腸管粘膜の虚血性変化により生じると考えられる。今回、CHD児のNECについて検討した。【方法】対象は2004年~2022年に当院で新生児期にNECを発症した13例。後方視的に検討。NECの診断はBell分類を用い、病期II(確診例)、病期III(進行例)に分けた。また、腸瘻造設した例を重症例と定義した。【結果】出生週数は33週~41週(中央値39週)、出生体重は1950g~4066g(中央値2788g)。Fontan型は9例。PDA依存は10例(HLHS5、CoA/IAA3、DORV1、TAIIc1)、非依存は3例(DORV1、SV1、TGAII1)。病期分類は確診IIが10例、進行IIIが3例。進行IIIのうち2例は確診IIを経なかった。重症例5例のうち3例は、非進行の判断。発症時の経腸栄養は10例(経口1、注入9)、NPOは3例。重症4例は、注入移行後2日以内に発症。消化器症状及び所見では、腹部膨満が全例に出現。血便を8例(重症5)、嘔吐を5例(重症3)、残乳を4例(重症2)、腹部皮膚色の変化は4例(重症3)に出現。単純X-pでは、腸管拡張が10例(重症5)、壁内気腫5例(重症2)、Free airが2例(重症1)。血液検査の異常値例はわずかで、白血球増多1、白血球減少2、血小板減少1、代謝性アシドーシス2。心臓の血行動態では、全例が肺血流増加を呈し、6例が人工呼吸器管理、9例が低酸素療法中。心血管系に対する造影CT検査は12例に施行。検査後2日以内に6例がNEC発症。肺動脈絞扼手術(主/両側)は12例に施行。術後も5例にNECを発症(低酸素療法再開中4、注入再開中2)。【結論】体循環障害が生じる肺血流増加型のCHD児でのNEC発症は疾患名や血液検査では予測困難である。注入栄養や造影CTがリスク因子となるかも知れない。