[III-P6-5-09] 当院における乳糜漏出に対する治療の変遷と問題点
Keywords:乳糜漏出, 胸管塞栓, リンパ管造影
【背景】乳糜漏出に対する治療は,初期治療として薬物療法や栄養療法などの保存治療が行われる。従来,保存的治療に抵抗性があるものに対しては,胸膜癒着術や胸管結紮術などの外科治療が選択されてきたが,近年,リンパ管塞栓やリンパ管静脈吻合術のような新たな治療手段が登場し,治療戦略の見直しが迫られている。【目的】当院における治療戦略の変遷を振り返り,その問題点を抽出すること。【方法】2019年1月から2022年2月までの3年間において,リンパ管シンチグラフィ,動的MRリンパ管造影,リンパ管造影/塞栓などの件数から後方視的に検討した。また,集中治療開始に対する治療戦略の変遷についてインタビューを行った。【結果】2019年1月から2020年6月までの期間と2020年7月から2022年2月の期間において,リンパ管シンチグラフィは4件から9件に,動的MRリンパ管造影は1件から3件に増加した。リンパ管造影/塞栓も1件から2件と増加していた。また,集中治療科医からのインタビューにおいて,治療戦略においてリンパ管についての画像診断へ踏み出すタイミング・リンパ管造影/塞栓を考慮しはじめる時期がやや早くなった印象とのことであった。【まとめ】乳糜漏出に対する治療戦略において,動的MRリンパ管造影やリンパ管造影/塞栓などは重要であるものの,手技の煩雑さなどの問題から,まだまだ一般化するには至っていない。リンパチームを当院でも編成し始めているが,これによりさらなる治療戦略の定着を図りたい。