The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

集中治療・周術期管理

ポスター発表(III-P6-5)
集中治療・周術期管理 II

Sat. Jul 23, 2022 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場

座長:崔 禎浩(宮城県立こども病院 心臓血管外科)
座長:桃井 伸緒(福島県立医科大学医学部 小児科)

[III-P6-5-10] 小児心臓カテーテルの深鎮静におけるデクスメデトミジン併用の有用性

中村 太地, 水冨 慎一朗, 岩崎 秀紀, 井美 暢子, 太田 邦雄 (金沢大学 小児科)

Keywords:デクスメデトミジン, 心臓カテーテル, 鎮静

【背景】小児では心臓カテーテル施行中の安静を保つことが困難なため静脈麻酔による深鎮静、または全身麻酔が必要となることが多い。従来本邦において使用されてきたミダゾラム(MDZ)やチオペンタールは呼吸抑制に伴う低酸素血症がしばしば問題となる。一方、近年小児においても呼吸抑制の少ないデクスメデトミジン(DEX)が集中治療領域でよく用いられており、当院ではカテーテルの鎮静にMDZに加えDEXを併用している。今回、小児心臓カテーテルにおけるDEXを併用した鎮静の有用性及び使用した際の注意事項について検討した。【方法】2013年1月から2018年8月に当院において深鎮静下で心臓カテーテルを施行した155例を対象とし、DEXを併用した79例(D群)と併用しなかった76例(non D群)に分けて、検査中の合併症、体表面積あたりのMDZ投与量(初回、追加)、チオペンタール追加投与の有無、心拍数及び血圧の変動について後方視的に比較検討した。【結果】カテーテル施行年齢はD群3歳5ヶ月、non D群3歳6ヶ月(中央値)で差はなかった。酸素投与を要する低酸素血症を認めたのはD群2例(2.5%)に対してnon D群は6例(7.9%)で高い傾向にあった。MDZ初回投与量に差はなかったが、追加投与量はD群で有意に少なかった(D群1.6±1.8mg/m2、non D群2.9±2.9mg/m2、p<0.01)。チオペンタール追加投与を必要とした割合に差はなかった(D群 14%、non D群 11%)。カテーテル中の血圧変動に差はなかったが、D群で有意に心拍数の低下を認めた(D群-22±11bpm、non D群-11±9bpm、p<0.001)。【結論】小児心臓カテーテルの深鎮静においてDEXを併用することでMDZの追加投与量を減らすことが可能で、呼吸抑制に伴う低酸素血症の予防に貢献できる可能性がある。