The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

集中治療・周術期管理

ポスター発表(III-P6-5)
集中治療・周術期管理 II

Sat. Jul 23, 2022 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場

座長:崔 禎浩(宮城県立こども病院 心臓血管外科)
座長:桃井 伸緒(福島県立医科大学医学部 小児科)

[III-P6-5-11] 総肺静脈還流異常症術後の心臓カテーテル検査麻酔前評価における好中球・リンパ球比の有用性

神山 孝憲, 簑島 梨恵, 西部 伸一 (東京都立小児総合医療センター 麻酔科)

Keywords:好中球・リンパ球比, 総肺静脈還流異常症, 肺高血圧

【背景】好中球・リンパ球比(NLR)は、心不全やさまざまな疾患の進行度や予後の指標となることが知られている。先天性心疾患の周術期管理においてもNLRが術後合併症の指標となることが報告されている。総肺静脈還流異常症(TAPVC)術後肺静脈狭窄合併例に対する心臓カテーテル検査は、重篤な肺高血圧や心不全、原疾患や手技による喀血のため、最も麻酔管理が困難なものの一つである。【目的】 TAPVC術後心臓カテーテル検査の麻酔前評価におけるNLRの有用性を検討する。【方法】 2010年4月から2021年9月に当院でTAPVC修復術を行い、術後心臓カテーテル検査を行なった症例を対象とした。単心室など心房中隔欠損以外の心内奇形合併症例は除外した。麻酔前血液検査およびカテーテル検査結果を後方視的に検討した。 NLRと肺体血圧比 (Pp/Ps)、平均肺動脈圧 (mPAP)、肺血管抵抗 (Rp)との相関はスピアマンの順位相関係数を用いて、Pp/Ps が1.0以上となるNLRのカットオフ値はROC曲線を用いて検討した。【結果】 TAPVC修復術を実施した40症例のうち、除外項目に該当する13症例を除いた27症例を対象とした。当該期間に合計110回の心臓カテーテル検査が行われた。NLRとPp/Ps、mPAP、Rpの(r値, P 値) はそれぞれ (0.62, 0.0001未満) (0.57, 0.0001未満) (0.58, 0.0001未満)と有意な相関を認め、NLRのカットオフ値を1.5とした場合、Pp/Ps が1.0以上となる感度、特異度はそれぞれ75%、60%となった。【考察・結論】 NLRは麻酔前検査である全血球検査から簡便に算出することができる。体血圧を上回る重篤な肺高血圧は、非心臓手術や心臓カテーテル検査時の重篤な合併症発生と関係があり、TAPVC術後患者において、NLRはPp/Ps 1.0以上を予測する有用な麻酔前検査と考えられた。