[III-P6-6-10] 房室伝導の改善によりVVIペーシングでの循環悪化を生じた新生児心筋炎後症例
Keywords:新生児心筋炎, 房室ブロック, ペースメーカー
【緒言】新生児の完全房室ブロック(AVB)では体格の問題からVVIペーシングが選択されることもあるが、非生理的な心拍数や心機能への影響が問題になることがある。【症例】抗SS-B抗体145倍の母体から出生した児。胎児期に不整脈を認めるも一過性で機能不全なし。在胎38週2日、2645gで出生。心エコーでLVEF40%、カテコラミン開始。日齢1に完全AVBとなり緊急搬送中にVf、胸骨圧迫、電気的除細動を反復した。ステロイドパルス・アミオダロン・プロタノール投与で日齢3に一旦洞調律に復帰したがその後AVBは悪化し高度AVB~完全AVBに移行。活動に伴う末梢循環不全を認め、Vf/VTも再発したため日齢43(2.8kg)にVVIを植え込み。Pacing Rate(PR)120の設定でBNP低下、体重増加の改善が見られていたが5か月~哺乳不良、発汗過多、四肢冷感が悪化、BNP再上昇。PR100への変更で若干の改善が見られたが、8か月にPacing中止試験を行ったところHR120以下では自己脈が出現、130-140で2:1~完全AVBに移行することを確認。また心エコーでHR<120では自己脈でoutputが増加したため、HR増加時のブロックに対するPacingが必要と判断。10か月にDDDに変更し臨床症状、NT-proBNP(5864→267pg/ml)とも著明改善した。【結語】VVIは両心室機能低下、Afの増加などの合併症が知られているが、本症例は非生理的心拍数、及び心房・心室非同期が血行動態悪化の主因と考えられた。特にHRの上昇に伴いAVBが出現する場合は自己脈を優先できるDDDへのupgrade及び適切なDDDの設定が重要である。