[III-P6-7-02] 左冠動脈肺動脈起始(ALCAPA)術後の遠隔期に虚血所見が出現した成人例
キーワード:ALCAPA, 左鎖骨下動脈-左冠動脈吻合術, 遠隔期
【背景】ALCAPA術後の問題点として僧帽弁逆流や左室機能障害の予後については多くの検討があるが、遠隔期における心筋虚血に関する報告は文献上検索できない。乳児期のALCAPA修復術後、虚血所見なく経過していた成人例で遠隔期に無症候性の虚血所見を認めたので報告する。【症例】42歳女性。生後3ヶ月でALCAPAに対し左鎖骨下動脈-左冠動脈吻合術を行った。22歳時のカテーテル検査で吻合部はほぼ閉塞していたが、右冠動脈からの側副血行路が発達しており、運動負荷心電図での虚血所見や自覚症状なく経過していた。41歳から運動負荷心電図で虚血所見があり、ホルター心電図で非持続性心室頻拍を認めた。42歳でカテーテル検査を行い、鎖骨下動脈と左冠動脈の吻合部に高度狭窄があり、血流は順行性であるが左冠動脈領域の大部分が右冠動脈からの側副血行路で還流されていた。左鎖骨下動脈吻合部狭窄に対するPCIの適応を検討したが,長期の開存維持の予測が難しく,β遮断薬の内服を開始して経過観察中である.【考察】左鎖骨下動脈-左冠動脈吻合術の長期予後は,直接吻合法と差がないとの報告があるが,本症例のように遠隔期で無症候性の虚血所見を示す症例が存在し、定期的なフォローアップ、治療方針の決定が重要である。【結語】ALCAPA術後の遠隔期には無症候性虚血に留意する必要がある。