[III-P6-7-04] 先天性大動脈弁狭窄症に対する今野法による大動脈弁置換術後遠隔期に弁周囲逆流による急性心不全を発症し救命困難であった成人例
Keywords:Konno, perivalvular leakage, congenital AS
【背景】Konno-AVR術後遠隔期の予後や問題点は不明な点が多い。【症例】41歳女性。ASRに対し5歳時にcommissurotomy、10歳時にKonno-AVR (SJM #23)を施行。軽度のtrans-valvular leakageとLVEF 40%の心機能低下に対しカルベジロール、エナラプリルを内服し、NYHA IIで安定して外来通院していたが、急性心不全で入院した。エコーで石灰化したVSD patchと機械弁縫合部と思われる部位に新規にperivalvular leakage(PVL)が出現していた。トルバプタン導入、エナラプリル→ARNIへの変更などで改善し2週間で退院したが、9日後に心不全再増悪のため再入院した。CMRではLVEDVi 151mL/m2、LVEF 33%、ARRF 56%、心内膜下LGE陽性、ECV 37%で、左室びまん性線維化が示唆された。reAVRや外科的PVL閉鎖を検討したが低心機能のため施行困難と判断。PVL部位のデバイス閉鎖や心臓移植を検討中にカテコラミン依存状態となり、再入院2か月後に死亡した。【考察】幼少期のASRによる左室負荷、Konno手術による中隔切開などの影響で元々低心機能であったが、PVLによる急性かつ進行性と考えられるARで急速に非代償性心不全を発症した。IMPELLAは機械弁のため、IABPやPCPS、VADは重度ARのため適応困難と判断した。早期のデバイスによるPVL閉鎖が唯一の救命方法であったと考えられたが、デバイスラグの問題もあり、速やかな治療検討が困難であった。【結語】低心機能を伴うKonno-AVR遠隔期にPVLを生じた場合は既に再手術不能な可能性が想定され、急速進行性の経過を辿ることもあるため国内でのPVLに対するデバイス治療の発展が望まれる。