[III-P6-7-07] 僧帽弁形成術後12年経過し良好な経過が得られている乳児マルファン症候群の一例
Keywords:乳児Marfan症候群, 僧帽弁形成術, David手術
【はじめに】新生児および早期乳児Marfan症候群は重症僧帽弁逆流(MR)による難治性心不全により致死的となることが多い。今回我々は、生後早期に発症したMRに対する僧帽弁形成術と大動脈基部拡大に対する大動脈弁形成術を施行後、再手術なく経過し良好な長期生存を得られている乳児Marfan症候群の児を経験したため報告する。【症例】13歳女児。胎児期は異常指摘なく正期産で出生。出生時に呼吸障害等は認めなかった。身体所見からマルファン症候群を疑われ、遺伝子検査で広範囲でのFBN1遺伝子の欠失を認め確定診断した。出生直後の心エコーではtrivial MRを認めるのみであったが生後6か月時に急速に進行する僧帽弁逸脱とsevere MRを認め、LVDdは150%まで拡大した。アンジオテンシン変換酵素阻害薬を開始したが改善を得られず、同月齢で僧帽弁修復術を行った。術式は僧帽弁逸脱に対してedge-to-edge techniqueを用いて弁輪形成術を行った。術後、MRはmildに改善しLVDdも正常範囲で経過した。僧帽弁狭窄は生じていない。 5歳頃より大動脈基部拡張が出現しβ遮断薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬を開始した。しかし徐々に拡大は進行し9歳時にはValsalva径が35mm(180%N)に達したため、当院循環器外科によりDavid手術を施行した。現在で僧帽弁形成術から12年、David手術から5年ほど経過しているが、MRや大動脈弁逆流進行なく良好な術後経過をたどっている。【考察】乳児Marfan症候群に対する僧帽弁修復術後の長期経過の報告は少ない。適切な手術介入方法や時期を見極めることで難治性の心不全や突然死を防ぐ可能性がある。