[III-P6-7-08] ステントグラフト挿入により大動脈縮窄術後の遠隔期狭窄が改善した12歳女児例
Keywords:大動脈縮窄, 遠隔期再狭窄, ステントグラフト
【背景】大動脈縮窄(CoA)術後遠隔期の再狭窄に対してはカテーテル治療や外科的修復術が選択されることが多い.ステントグラフトは,近年成人の大動脈疾患の治療に用いられている.CoA術後狭窄に対し, ステントグラフト挿入(thoracic endovascular aortic repair; TEVAR)で治療した小児例を経験した.
【症例】12歳女児
【主訴】運動時の下肢痛
【現病歴】3歳時にCoAと診断され,5 cm長の下行大動脈縮窄(圧較差40 mmHg)に対し, 径14 mmの人工血管置換術が施行された.吻合部遠位の圧較差は術後1年で10 mmHg,4年で45 mmHgと進行し,バルーン血管形成術 (BAP) で30 mmHgに改善した.その後,再度血圧上下肢差が進行した.
【現症】体重43 kg, 身長150 cm.血圧 135/54 mmHg (右上腕), 97/55 mmHg (右下肢),下肢冷感あり.
【検査所見】胸部レントゲン写真:心胸郭比 46%.心電図: 心拍数81 bpm, 洞調律,正軸, 左室肥大所見なし.足関節上腕血圧比: 左右ともに0.73.心エコー:収縮良好,大動脈弁は3尖,逆流なし.血液検査:肝腎機能異常なし,BNP 11.8 pg/mL.造影CT: 人工血管遠位狭窄部の内径は6 mm, 全長は40 mm,Adamkiewicz動脈は狭窄部下端より45 mm遠位から起始.心臓カテーテル検査:圧較差40 mmHg.
【治療】全身麻酔下にGore Excluder® Contralateral leg (16 mm×9.5 cm) を用いTEVARを施行した.使用に際し院内の未承認新規医薬品等管理委員会への届け出を行った.術中,血圧上下肢差は62 mmHg→21 mmHgと改善した.術後CTで合併症はなく,最狭窄部径は6 mmから9.2 mmに改善したが,狭窄は残存していた.自覚症状は消失した.
【考察】CoA再狭窄に対するTEVARは欧米で施行されているが,本邦では数例の報告のみである.外科手術に比して侵襲が少なく,通常のステント挿入術やBAPに比して有効率が高いとされるが,長期予後は不明である.本症例も吻合部圧較差は改善したが,長期的な経過観察を要する.
【症例】12歳女児
【主訴】運動時の下肢痛
【現病歴】3歳時にCoAと診断され,5 cm長の下行大動脈縮窄(圧較差40 mmHg)に対し, 径14 mmの人工血管置換術が施行された.吻合部遠位の圧較差は術後1年で10 mmHg,4年で45 mmHgと進行し,バルーン血管形成術 (BAP) で30 mmHgに改善した.その後,再度血圧上下肢差が進行した.
【現症】体重43 kg, 身長150 cm.血圧 135/54 mmHg (右上腕), 97/55 mmHg (右下肢),下肢冷感あり.
【検査所見】胸部レントゲン写真:心胸郭比 46%.心電図: 心拍数81 bpm, 洞調律,正軸, 左室肥大所見なし.足関節上腕血圧比: 左右ともに0.73.心エコー:収縮良好,大動脈弁は3尖,逆流なし.血液検査:肝腎機能異常なし,BNP 11.8 pg/mL.造影CT: 人工血管遠位狭窄部の内径は6 mm, 全長は40 mm,Adamkiewicz動脈は狭窄部下端より45 mm遠位から起始.心臓カテーテル検査:圧較差40 mmHg.
【治療】全身麻酔下にGore Excluder® Contralateral leg (16 mm×9.5 cm) を用いTEVARを施行した.使用に際し院内の未承認新規医薬品等管理委員会への届け出を行った.術中,血圧上下肢差は62 mmHg→21 mmHgと改善した.術後CTで合併症はなく,最狭窄部径は6 mmから9.2 mmに改善したが,狭窄は残存していた.自覚症状は消失した.
【考察】CoA再狭窄に対するTEVARは欧米で施行されているが,本邦では数例の報告のみである.外科手術に比して侵襲が少なく,通常のステント挿入術やBAPに比して有効率が高いとされるが,長期予後は不明である.本症例も吻合部圧較差は改善したが,長期的な経過観察を要する.