[III-P6-8-01] 先天性心疾患を有する高齢者に対する外科治療の現状
Keywords:成人先天性心疾患, 高齢者, 外科治療
【背景】先天性心疾患(CHD)をもつ高齢者に焦点をあてた報告は少ない。【背景】高齢のCHD患者に対する外科治療の現状と問題点を明らかにする。【対象・方法】2005年~2021年の間に当院で手術を行った60歳以上のCHD患者12例(11名)を対象とし、診療録の後方視的検討を行った。男性が5例(5名)、平均年齢は70.6 ± 7.3歳、平均体重は49.7 ± 9.2kgであった。主疾患はVSD 3例、右室二腔症 2例、不完全型房室中隔欠損 3例、部分肺静脈還流異常、重度肺動脈弁狭窄、TOF根治術後重度肺動脈弁閉鎖不全、TOF根治術後大動脈弁輪拡張症および肺動脈弁狭窄 各1例であった。術前NYHA分類はI度2例、II度6例、III度4例であった。合併疾患は不整脈 7例、糖尿病 4例、高血圧 3例、悪性腫瘍 2例、冠動脈狭窄 1例であった。施行術式は房室弁形成 6例、VSD閉鎖 5例、右室流出路再建(PVRを含む) 4例、心房間短絡閉鎖(reroutingを含む) 3例、房室弁置換1例、CABG 1例、MAZE手術 1例、左心耳切除 1例で、手術時間は362 ± 201分、人工心肺時間は163 ± 68分、心停止時間は100 ± 46分であった。【結果】術後ICU入室期間は平均4(1-21)日であった。術後合併症として、上室性不整脈を5例(うち脳梗塞発症1例、クモ膜下出血発症1例、ECMO導入1例)、出血性舌潰瘍を1例に認めた。術後入院期間27(11-67)日で全例が生存退院した。術後平均追跡期間は4.8(0.3-14.3)年で遠隔死亡2例(ともに心不全死)を認めた。【考察】手術成績は概ね良好であったが、不整脈と脳合併症が頻度の高いmorbidityであった。遠隔死亡は心不全が原因であり、手術時期の判断および術後の内科的治療の継続が重要と思われた。【結論】CHDをもつ高齢者の手術成績は満足できるものであった。循環器内科と連携しての術前・術後管理の重要性が確認された。